4月 14, 2018 16:09 Asia/Tokyo
  • 西洋人女性のイスラムへの傾倒
    西洋人女性のイスラムへの傾倒

西側諸国では、イスラム教徒が数多くの制限や不当な扱いを受けており、またイスラム恐怖症を煽る政策が実施されています。ですが、正式な統計によれば現在、西側諸国では過去数十年間に比べて、イスラム教徒の人口が急増し、特に女性をはじめとしたイスラムへの入信の傾向が高まっています。今夜は、この問題にスポットを当てていくことにいたしましょう。

アメリカの世論調査会社ピュー・リサーチセンターは、EU諸国でのイスラム教徒の増加の実態について調査するとともに、最新の調査結果を発表しました。それによれば、現在EU圏の総人口のおよそ5%をイスラム教徒が占めており、この数字は2025年までにイスラム教徒にとって有利となるよう変化していくとされています。

ピュー・リサーチセンターの報告では、ヨーロッパ諸国がこのまま自国の国境閉鎖を続け、移民や難民の受け入れを停止しても、EU圏におけるイスラム教徒の総人口は2025年までに3500万人以上に達し、EU圏の総人口に占めるイスラム教徒の割合が10%に達するとされています。イギリス、フランス、イタリア、ドイツなど、イスラム教徒に最も厳しい制限を課している国々でも、今後20年間でイスラム教徒の人口が激増すると見られています。

 

西側諸国でのイスラム入信の傾向

 

一部の研究者は、イスラム教徒の人口増加の傾向が彼らの間の出生率に関係しているとみています。しかし、複数の証拠資料によれば、本来イスラム教徒ではなかったヨーロッパ人たちがイスラムに入信する事例が増えている事がわかっています。フランス内務省のベルナール・ゴダール文化担当局長は、フランスにおける人々のイスラムへの傾倒は、特に西暦2000年以降はもはや通常のものとなり、決して否定できないものとなった、と語っています。

 

イギリス・ウェールズ地方にあるスウォンジー大学は、ある世論調査においてヨーロッパ人がイスラムに傾倒する原因を調査しました。その結果、この調査への回答者の多くが、イスラムに傾倒する理由として、家族の絆の脆弱化や、人々の間で倫理に反する問題や、歯止めの利かない消費志向が広まっていることを挙げています。

アメリカのシンクタンク・ゲイトストーン研究所の報告でも、ヨーロッパ人のイスラム傾倒の流れが日増しに高まっている事実が認められています。また、注目すべき点として、別の世論調査会社が行った調査ではイギリスでイスラムに入信した人々の3分の2が女性であり、しかも彼女たちの70%以上が白人で、平均年齢は27歳だったということです。

一方、フランスもEU加盟国の1つであり、常に西側諸国におけるイスラム排斥の拠点として、イスラム教徒に大きな圧力をかけ、厳しい制限を課してきました。にもかかわらず、フランスの第3チャンネルの報道によれば、フランスでもイギリスと同様に、イスラムに入信する人々の大半が女性だということです。6500万人の総人口を抱えるフランスでの、イスラム排斥を目指す措置には、大学内でのイスラム式の女性の被り物・ヘジャーブの着用禁止、雑誌や新聞の多くにおけるイスラムの預言者ムハンマドを侮辱した挿絵の掲載などが挙げられます。

 

それではここで、イランの女性問題の研究者であるアーホンダーン博士の話をお届けしましょう。

「ヨーロッパ社会でのイスラム化の傾向、特に女性たちがイスラムに注目していることは、否定できない事実である。ヨーロッパ諸国の政府やメディアが、こうした傾向を隠蔽しようとしているにもかかわらず、イスラム化の傾向は一般社会の注目をひきつけている。昨今では特に女性をはじめとする社会全体で、こうしたイスラム化の傾向が日増しに高まっている。どうやら、ヨーロッパ諸国の政府が数十億ドルもの巨額の費用を投入して、西洋社会にイスラム恐怖症やイスラム回避を広めようとした工作は、逆効果となったようである」

「ヨーロッパ人の若い世代の女性は、それまでの世代とは異なり、自分をひけらかしたり、体を露出した服装を身につけることには、それほど関心を持たなくなっており、体を露出しない傾向が強まっている。こうした傾向の背景にある最大の原因は、近年において締まりのないみだらな傾向が広まっていることにある。今や、若い女性や少女たちの間では、それとは逆の、体を覆い隠す服装をする風潮が最高潮に達している」

 

イギリス・バーミンガム大学で教鞭をとるハイファ・ジャヴァード教授も、イスラムに入信するヨーロッパ人女性が増加している事実を認めており、次のように述べています。

「この現象は、実際に西洋社会における倫理の退廃ぶりに、多くの女性が反応したものだと言える。彼女たちは、イスラムから与えられた後ろ盾に喜びを感じている」

 

イスラムに入信して間もないあるオランダ人女性も、次のように述べています。

「イスラムに入信したこれらの女性たちは、イスラムが男女の関係について提示している見解に惹かれている。それは、イスラムでは家族を持ち母親になるためのより多くのチャンスが得られるとともに、女性がジェンダーの面で成功するための手段とはみなされていないからである」

 

元英首相の義理の妹で、ジャーナリスト兼平和活動家のローレン・ブースさん

 

 これまでに、イスラムに入信したヨーロッパ人女性の最も代表的な例として、イギリスのブレア元首相の義理の妹で、同国のジャーナリストのローレン・ブースさんを挙げることができます。

ローレン・ブースさんは、イギリスにおいてパレスチナ人の権利擁護の分野で最も活発な活動家の1人です。彼女は、2005年にイランを訪問した際、テヘラン南方の聖地ゴムに足を運びました。そこでは、シーア派8代目イマーム・レザーの妹マアスーメの霊廟を訪れましたが、これにより彼女の心理面に根本的な変化が生じます。彼女は、イランから帰国した後イスラムに入信し、現在ではイスラム式の女性用の被り物であるヘジャーブを身に着けているとともに、一般のイスラム教徒と同様に日々の礼拝も行っています。

ローレン・ブースさんは、2011年にイギリスの新聞デイリーメールのインタビューで、イギリスでのイスラム教徒人口の増加が、この国にとって有益な出来事だとし、自らがイスラムに入信して以来、より努力する職業人になったとともに、自分の子供たちにとってよりよい母親になったと語っています。

 

さらに、イスラムに改宗したもう1人のヨーロッパ人女性として、イギリス人女性警察官のジェイネ・ケンプさんがおり、彼女は最近イスラム式のヘジャーブを被って警察官としての職務を続行しています。ジェイネさんは、イスラムに改宗した後、イスラム式の名前であるアミーネに改名しており、自らのイスラム入信について次のように述べています。

「私は、イスラムでは女性を無理やりに台所に立たせていると思い込んでいました。ですが今、イスラムとは他人への尊重や忍耐強さ、寛大さであることが理解できました。イスラムについてより深く学べば学ぶほど、隣人への支援や高齢者へのケアなどといった、イスラムとキリスト教の類似点が見えてきたのです。私は当時、宗教などまったく求めていませんでしたが、イスラムは私の抱いていた全ての疑問に答えを示してくれました。今、私はイスラムを愛していると感じています」

 

イスラムに改宗したイギリス人女性警官ジェイネ・ケンプさん

 

アミーネさんは、イスラム教徒になったときから、より大きな喜びを感じるようになったと思う、と述べています。そして、アミーネのこの変わりようがきっかけとなり、彼女の家族もイスラムに惹かれるようになりました。アミーネの姉妹も、イスラム入信後のアミーネの精神状態を目の当たりにし、イスラムに傾倒するようになったということです。

 

専門家の見解では、西側諸国でのイスラムを求める動きは、1つの社会的な傾向である以前に、西洋社会に浸透している一般的なニーズと見られています。こうした中でも、特にイスラムに傾倒する女性は、男性よりも多くなっています。この現象は、西洋社会におけるモラルの退廃に、多くの女性が反応していることを示していると言えます。

アメリカ・メリーランド大学で中東の歴史を教えているマーデリン・ズルフィ教授は、アメリカの大学に学ぶ女子学生たちの間でも、イスラムへの傾倒が高まっている事について、次のように述べています。「自分は、こうした傾向に好奇心を感じた。私は、大学内でイスラムが女子学生たちにアイデンティティを与えているという現実を目の当たりにしたのである。今や、イスラム教徒の女子学生は、イスラムという宗教において、より強い動機付けをもって学んでおり、また自らの宗教信仰についてより真剣である」

確実に言えることは、多くの女性たちのイスラムへの傾倒が、西洋社会におけるモラルの退廃への反応によるものであるということです。彼女たちは、イスラムが全ての人々に提示した帰属意識や支援、共同参加という概念に傾倒しているのです。

 

 

次回もどうぞ、お楽しみに。