4月 17, 2018 00:01 Asia/Tokyo
  • ウズー
    ウズー

今回は、イスラム教徒が礼拝の前に体を清める行為であるウズーが、健康と衛生に及ぼす効果についてお話ししましょう。

宗教上の礼拝行為や儀式は、人間に精神面での効果をもたらすと共に、肉体的にも奇跡を起こす力があります。イスラム教徒にとっての宗教的な行為の1つは、1日に5回行う礼拝であり、この礼拝を行う前には、体を清めるウズーを行う義務があります。

イスラム教徒は、礼拝を行う前に清潔な衣服を身に着けるとともに、体の一部を特定のやり方と順番に従って、清潔な水で洗う必要があります。これはペルシア語でウズーと呼ばれ、シーア派では、顔と両手を洗い、両足の甲に水をこすりつけるというもので、それ自体が1つの礼拝行為とされています。この行為により、人間は神により近づき、その人の精神性の完成度が高まる一方で、医学的、衛生的な点からも、その人の私生活や社会環境にプラスの効果を及ぼします。

神はコーラン第5章、アル・マーイダ章、「食卓」第6節において、ウズーについて、次のように述べています。

“信仰を寄せた人々よ、あなた方が礼拝に立つ時には、顔と両手の肘までを洗い、頭と両足の甲を撫でるがよい”

現代科学や医師の研究でも、宗教的な行為や礼拝前のウズーに多大な効果があることが明らかにされています。

イスラムと健康

ウズーは、イスラムで定められたそのほかの礼拝行為と同様、精神、科学、衛生の面で哲学や根拠を有しています。イスラムの預言者ムハンマドの伝承では、ウズーの根拠について次のようにあります。

“ウズーとは、顔や両手、頭や両足の甲を洗うことである。つまり、これまでに犯したあらゆる罪を洗い落とし、清らかな顔で神に向かって礼拝を行い、清らかな額を地面につけると神に誓うことである。また、ウズーにより、神に向かって、罪から手を引くと誓い、手を洗うことでそれまでその手で犯してきた罪を洗い清めることを意味する。さらに、清めた手で頭頂部から額の手前までを撫でることは、自分の頭の中にある、あらゆる誘惑や、偽りの妄想をそぎ落とし、それらを遠ざけることになる。また、両足の甲を撫でることは、好ましくない場所に行く事をやめ、これまでに自分の足で行ってきた全ての罪を払い落とすことを意味する。崇高なる神の名を唱えようとする人は、口も清める必要がある。洗浄していない口で神の名を唱えることはできないゆえ、水で口を洗浄する必要がある”

さらに、口の中が清潔に保たれていれば、その人は多くの病気から守られることになります。

一部の医学者の間では、肌の衛生に関する新しい研究業績を見れば、コーランに述べられているウズーなど、体を清める行為の重要性が明らかになる、と考えられています。肌の健康にはまず、特に顔や手などのからだの各部位を良く洗い、清潔に保つことだとされています。

ウズー

 

肌を清潔に保つことは、皮脂腺や汗腺からの分泌が円滑に行われるうえで重要なポイントであり、私たちは1日に少なくとも3回は手や顔、そして首を洗う必要があります。排泄後や食事の前に手を洗うことは不可欠であり、礼拝をする人は、ウズーを行う時に手を洗い、病原体を手からすすぎ落とし、病原菌の侵入源を断ち切ります。

医学者の間では、ウズーの衛生面での効果に関して、手の汚れを原因とする消化器官系の病気を防ぐことができるといわれています。そうした重大な疾病には、コレラや腸チフス、胃炎、食中毒といった感染症が挙げられます。

 

神経生理学の新たな発見によれば、感覚を刺激することで神経が研ぎ澄まされ、眠気や倦怠感、めまいが解消されることが分かっています。熟睡している人に声をかけたり、体をゆすったりすることで目覚めさせることができるのと同様に、感覚的なメッセージが大脳により多く届けば届くほど、その覚醒効果が上がり、より単純な表現のみで、大脳の多くの部分が刺激され、その人の集中力や洞察力が増すことになります。

ウズー

 

手と口の周りは、敏感な部分が多くなっています。ウズーの際には、水で口の中や顔、肘や手のひら、頭頂部、足の甲といった、体の表面のわずか20%でありながら、感覚器官が集中している部分を刺激することになり、それによってその人の覚醒レベルが高まります。ある有識者の見解では、イスラムでのウズーは、マッサージと同じ効果があるとされています。それは、水で体の表面をすすぎ、撫でて冷たい刺激を与えることで、体のその部位に向かう血流が促され、ウズーにより、一時的に冷えた部分の体温が平常に戻るからです。また、循環器系の活動が盛んになり、その結果、体にとって最も重要な血流が促進されて、はつらつさと健康が増進され、体の清潔さが維持されることになります。

今日、科学者らは、人間の体からは常に光や電磁波、エネルギーが放出されているとしています。中でも、礼拝をする人がウズーの前に放出する電磁波は、その後に放出される電磁波とは異なっています。ウズーの後に放出される電磁波は、その人が、より大きな安らぎの状態にあることを示しています。このため、ウズーは、人間に安らぎを与えるものだといえるのです。