イスラム世界の観光都市タブリーズ(音声)
このほど、OICイスラム協力機構の決定により、イラン北西部の大都市タブリーズが、2018年のイスラム世界の観光モデル都市に選出されました。最近、これに関する式典が、イランのローハーニー大統領の出席のもとに実施されています。 今回は、この出来事にまつわる最新報告をお届けすることにいたしましょう。
OICは、2015年以来イスラム圏の観光モデル都市を指定するという計画案を採択しました。このプランにより、イスラム圏内にある諸都市のいずれか1つが、毎年イスラム世界観光モデル都市に指定されることになります。
5000年の悠久の歴史を誇るタブリーズは、2015年12月にニジェールの首都ニアメで開催された、第9回OIC観光相・専門レベル会合において、2018年のイスラム圏観光モデル都市に選ばれました。
今回、タブリーズが選ばれたのは、文化的、歴史的、社会的に誇るべき数多くの要素が存在することによります。選定理由を具体的に挙げれば、2つのユネスコ世界遺産などの観光モデル地区の存在、観光にふさわしいインフラが整備されている事、充実した美術館や、破壊されていない自然、そして数多くの史跡が存在すること、国際じゅうたん都市にも選ばれていること、国内外からこの町を訪問する観光客が多い事などが指摘できます。
タブリーズが2018年のイスラム圏観光都市に指定されることを目指し、様々な措置が取られました。その例として、トルコの航空会社であるターキッシュエアラインをはじめとする航空会社が行った、タブリーズとこの町が属する東アーザルバーイジャーン州の観光面での魅力の宣伝、この州にある老朽化した住宅を観光施設やホテルなどにする認可を出したこと、タブリーズを現代に見合った国際観光都市にし、市内のホテルをしかるべき基準にそったものにするため、都市インフラの整備がなされていることなどが挙げられます。
タブリーズでは今年の1月、2018年の幕開けにちなんで、プレイベントが実施されました。そして、4月25日にはイランからはローハーニー大統領をはじめ、副大統領や閣僚、そしてイスラム諸国の観光大臣らやイラン駐在の各国大使、さらには国内外からのその他の招待客らの列席のもと、タブリーズ国際会合センターにて正式な開幕式典・タブリーズ2018が行われました。
タブリーズ観光フェスティバルは、このようにして開幕しています。
ローハーニー大統領は、自らの演説において、世界との建設的な交流方法の1つは観光業を発展させることだとし、「観光により、各国の国民が世界や過去の歴史を正しく理解することになり、実際に現代人と過去の歴史とのコミュニケーションを成立させるとともに、現代と未来の世界の状況の認識につながる」と語りました。
また、タブリーズがイスラム圏の観光都市として、イランにとってのみならず、恒久的に、歴史にとっても魅力であり、またそうあり続けるだろうとし、「タブリーズは常に、イランとヨーロッパ、さらには世界とをつなぐ玄関口としての役割を果たし、シルクロードの要衝に位置していることから、アジアとヨーロッパを結んでいた。こうしたつながりは、今後も恒久的に残るだろう」と語りました。
ローハーニー大統領はさらに、タブリーズをこの地域における商業の中心地だとし、「タブリーズには、熟練した職人や経験豊かな商人たちが存在しており、この町を訪れた人々は必ず何かを学び取ることができる」と述べています。
ECO・経済協力機構のハリル・イブラヒム・アクチャ事務局長は、タブリーズが2018年のイスラム圏の観光モデル都市に選ばれた事に喜びの意を表明し、「この歴史ある麗しの町は、トルコをはじめとするイランの近隣諸国やコーカサス地域の観光の拠点となりうる」と語りました。
ハリル・イブラヒム・アクチャ事務局長はまた、タブリーズ2018という一大イベントに当たって、この町の人々に対し祝賀の意を表明するとともに、「今回の出来事が、タブリーズやイランにおける観光業の発展と繁栄のチャンスとなるよう希望する」と述べています。
さらに、タブリーズを美しく清潔な町であるとし、「この町の人々は、商業や経済に多大な関心を持っており、またこの町の職人や商業関係者は倫理的に優れ、外国人の観光客や顧客に対し親しみをもって、兄弟のように接している。このような特長は、観光業の発展に影響を及ぼす重要な鍵となりうる」と語りました。
また、「地域的な組織としてのECOは、本格的に観光業に参入した」とし、「我々の主要な目的は、この組織に加盟している10カ国の間での観光業の発展、これらの諸国の国民同士の親睦や協調をはかることである。この点から、タブリーズは観光都市とされており、我々はこの町に関する更なる事業を展開する」と述べています。
バングラデシュ観光機関のナシル・ウッディン執行局長は、すべてのイスラム諸国の国民に対し、タブリーズ2018のイベントの開催に祝辞を述べました。そして、この重要なチャンスを最高の形で活用すべきだとし、「我々は、観光部門におけるイランや、特にタブリーズをはじめとするこの国の諸都市との協力拡大に関心を持っている」と述べています。さらに、悠久の歴史を誇り数多くの史跡が存在するタブリーズは文化にあふれ、敬意を表するべき町だとしました。
ナシル・ウッディン執行局長はまた、「タブリーズの人々の典型的な特長は、社会性があり感じのよい応対をすることだ」とし、「このことは、この地域の観光業の発展に大きな効果を果たしうる」と述べています。
それではここからは、タブリーズのあるイラン北西部・東アーザルバーイジャーン州の観光名所をいくつかご紹介してまいりましょう。
東アーザルバーイジャーン州は、イランでも観光名所の多い州の1つであり、大自然の景勝地のほかにも行楽や名所旧跡めぐり、自然散策や村落周遊にふさわしい魅力にあふれていることから、イランの観光産業の活性化につながる可能性の1つに数えられています。
タブリーズは、東アーザルバーイジャーン州の中心都市であり、古くから交易の重要な拠点として国内外の貿易商人らに注目されていました。この大きな町の独自の立地条件、シルクロードの要衝に位置し、トルコやアルメニア、アゼルバイジャン共和国と陸の国境を接していること、天然資源や肥沃な土壌、気候条件に恵まれている事、様々な産業の存在、街道や鉄道、さらには空路による運輸網が整っていること、数多くの経済・貿易上の拠点が存在することなどから、タブリーズには様々な部門への投資に適した下地が存在します・
タブリーズは、数百年にわたりイランの首都がおかれ、現在では国際的なトランジット輸送のルート上に位置しています。この町の歴史は、鉄器時代にまでさかのぼり、ここにある名所旧跡や大自然の景勝地は、ぜひ訪れたいスポットといえます。
この州を訪れる観光客を楽しませてくれる見所は枚挙に暇がありません。立憲革命博物館を筆頭に、世界最大規模を誇る屋根つきの屋内市場、ブルーモスク、偉大な詩人シャフリヤールやハーガーニーなどが埋葬されている「詩人の墓地」、旧式の民家や歴史ある城砦、珍しい手織りのじゅうたんを筆頭とする手工芸、多様性にあふれた郷土料理などが目白押しです。
言うまでもなく、タブリーズの関係機関の努力や、それにもてなし好きなタブリーズの人々が同調したことにより、タブリーズは2018年のイスラム圏観光モデル都市に指定されました。このことは、イランのそのほかの町の人々にとっても価値があり、また有効な手本として活用できる出来事といえます。近いうちに、イランの国内各地で、国内外からの観光客の接待の理想的なモデルとして、観光都市の創意工夫にあふれたアイデアが実施されることでしょう。