6月 26, 2018 19:50 Asia/Tokyo
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今回は、コーラン第98章アル・バイヤナ章明証についてお話ししましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

アル・バイヤナ章はメディナで下され、全部で8節あります。バイヤナとは、明白な根拠、あかしという意味です。この章は、預言者ムハンマドが使命を受け、それが明らかな証を伴っていたことに触れています。

 

この章では、神の預言者ムハンマドがすべての人のために遣わされたこと、礼拝と施しの義務、信仰、唯一神信仰、礼拝、断食といった預言者の導きの原則、イスラムに対する多神教徒と啓典の民の立場、最高の創造物と最悪の創造物の紹介といった問題について述べられています。

 

イスラムの預言者が現れるまで、啓典の民の不信心者や多神教徒たちは、もし預言者と明白な証がもたらされ、確かで貴重な記述が下されれば、多神教への信仰を捨てると言っていました。しかし、預言者ムハンマドが現れ、天啓の書コーランが下された後も、彼らは最後の預言者であるムハンマドと彼の世界的な導きを否定したのです。

 

アル・バイヤナ章は、このような人々を非難し、次のように語っています。「なぜ、この新しい教えの中で対立したのか。一部は敬虔な人間になり、一部は不信心者になった。イスラムの教えの中では、神を崇拝すること、神のために宗教を信じること、唯一神の信仰に戻ること、礼拝を行い、施しをすること以外のことは彼らに教えられなかったというのに」

 

聖典コーランによれば、ムハンマドは、神の最後の預言者として、多神教徒やすべての啓典の民のために遣わされました。

 

コーランは多くの節の中で、「人々よ」、「アーダムの子孫たちよ」といった表現により、すべての人に語りかけており、その導きをすべての人へのものとしています。また、神はコーランの多くの節の中で、イスラムの預言者はすべての人のために遣わされたとし、彼を世界の全ての人のための慈悲だと呼んでいます。

 

コーラン第98章アル・バイヤナ章明証

 

アル・バイヤナ章は、人類すべてに対し、預言者ムハンマドは神から世界の人に遣わされ、これは人類を導く上での神の掟によるものだとしています。預言者ムハンマドの導きは、人類社会を信条と行動の点で改善することを保障することへの導きに他なりません。

 

歴史的な資料によれば、預言者ムハンマドは、ローマ帝国のカエサル2世やイランの皇帝、エジプトやエチオピア、シリアの支配者、アラブの様々な部族の首長などに書簡を送りました。預言者はこれらの書簡の中で、彼らにイスラムの神聖な宗教を受け入れることを勧め、イスラムを受け入れずに不信心に走ることによる悪い結果を回避しようとしました。預言者は彼らのために、コーランの教えや戒律を語りました。その教えや戒律は、確かな真理と正義に溢れたもので、いかなる逸脱も見られないだけでなく、人類を幸福と救済、英知に導くものです。

 

預言者が唯一神信仰を各国の指導者たちに伝え、彼らに最後通告を下したとき、アル・バイヤナ章が下されました。こうして、今後はコーランとイスラムの預言者に反対する人たち、つまり啓典の民から多神教徒たちすべてに最後の言葉が下されたことが示されたのです。しかし、彼らの多くは真理を見極めていたにもかかわらず、それを信じることを拒みました。

 

アル・バイヤナ章の第6節と7節は、明証が下された後にも、自分たちの教えを守り、預言者を信じようとしなかった人々に対し、理性と啓示に反対したために責め苦が下されると警告し、彼らを最悪の創造物として紹介しています。また、預言者に信仰を寄せ、善を行った人たちは、最高の創造物だとし、彼らは神の満足を得て天国に入るという吉報を知らせています。

 

善と悪は常に相対するものです。時代を通して、真理を支持する人々は、最高の創造物の象徴であり、偽りや悪を支持する人々は、悪魔や最悪の創造物の象徴として知られています。アル・バイヤナ章の第6節と7節は、この最高の創造物と最悪の創造物について語り、敬虔な人々と不信心者という2つのグループの人々の特徴について述べています。