7月 28, 2018 20:26 Asia/Tokyo
  • 善良さ      
    善良さ      

前回お話したように、魂の健康の基本的な指標の1つは神に近づくことであり、人間のものの捉え方や行動の傾向はすべて、神の方向に向かうものとなったときにその人の本当の成長に寄与しうるものとなります。 今回は、魂の健康の向上に大きな役割を果たしている要素の1つとしての、善良さについてお話することにいたしましょう。

善良であることは、人としての道に即したモラルの原則の1つとされ、特にイスラムをはじめとするすべての啓示宗教において非常に重視されています。人々に対し善良な振る舞いをすることで、神に近づくのみならず、他の人々ともよい関係を築けることになります。神やその創造物としてのほかの人々との、こうしたよい関係は、その人の心と体の健康に驚異的な効果をもたらします。

 

善良さ

 

ここで、日本で行われたある調査についてお話することにいたしましょう。この調査では、調査の対象となった175人にアンケート用紙が配布され、善良である事が日常生活や行動、動機付けにどのくらい影響しているかを正確に割り出すことに主眼が置かれています。同時に、回答者に対しては、最近、喜びと落胆の両面で、大きな影響をもたらした出来事を10項目挙げ、それらについて説明することが求められました。

この調査の結果、回答者は次のように大きく2つに分かれることになりました。第1のグループは、満足感を感じている81人の人々のグループで、もう1つは第1のグループの人々よりも満足感が少ないと感じている94人の人々のグループです。この調査の回答者を、グループごとにさらに詳しく分析すると、次のような結果が出ています。

自分の人生に満足や喜びをより多く感じている人は、日常生活においても優しさにあふれ、日々の行動や動機付けも、善良さに基づいたものとなっている事がわかりました。このことから、善良であることは、その人個人の健康のみならず、その人の周りの人や、その人が住む社会にも大きな効果をもたらす事がわかります。

 過去に行われた研究調査によれば、善良であることや、何事にも善意をもって取り組むことで、神経伝達物質であるセロトニンが分泌されます。この物質は、感情面でのバランスを維持する上で重要な役割を果たしています。このため、他人に対して優しく振舞うことや、善良で好ましい行動をとることは、その人に心と体にプラスの効果をもたらすのです。アメリカの精神分析学者ダイアーは、『意志の力』という著作において、次のように述べています。

「善良な行動は、それがどんなに単純なものであれ、それを行った人のみならず、その人に関係する人々をも刺激し、それにより彼らにもセロトニンが分泌される」

ここで注目すべきことは、こうした現象がその善良な行動を目にする人々や周りの人々にも発生するということです。即ち、善良であることは、それを行った本人や、その人に関係する人々、さらにはその行為を目にしただけの人の気質や性格にも効果をもたらすのです。

善良であることは、その人の心の安らぎや、心の奥底からの満足につながります。人間は、他人に対して親切心や善意、援助の医師を示すときには、独特の快感が得られます。こうしたよい意味での快感や満足感により、抗ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が減少します。コルチゾールは、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、ストレスに関与し、過度なストレスを受けると分泌量が増加し、精神の安定に不可欠な物質です。

 

 

 

ハンガリー系カナダ人の生理学者ハンス・セリエは、ストレス学説を提唱し、ストレッサーの生体反応を明らかにしており、ストレスの治療法として善良な行動を奨励するとともに、これを自らの意思による自己献身と名づけています。言い換えれば、彼は自分自身がよい感情を持つためには、他人に対して善良に振舞うべきだと考えているのです。

アメリカ・カリフォルニア大学の心理学者ソニア・リュモミルスキー博士は、次のような実験を行いました。まず、学生たちを2つのグループに分け、そのうちの半分の学生には他人に敬意を払う、皿洗いなどの手伝いをするといった善良な行動を10週間にわたって行うよう求めました。すると、週末には定期的に善良な行動を行った学生たちは、そうしたことをまったく行っていない学生に比べて、より好ましい気質や性格を持っている事が判明したのです。

ここで、もう1つのポイントが指摘できます。それは、善良であることとは、プラスの感情を持つという意思決定のテーマだということです。私たちは誰1人として、善良さを装うことで、魂の健康のレベルを高めることはできません。ドイツ・フランクフルト大学の教授の1人は、2年間にわたってあるコールセンターに勤務する4000人の電話交換手を対象に行った調査の結果として、次のように述べています。

「電話をかけてくる全ての顧客に対して、親切に応対することを強要されたオペレーターは、業務の終了後のストレスがより大きく、うつ病に陥る可能性も高かったと考えられる。それは、そうしたオペレーターが、職を失わないために、また職業面での成功のために、作り声を出して親切な人物を偽装していたからである」

実際に、善良である事と魂の健康の間の関係は、その他の多くの行動と同様にその人の意思決定に関係しているといえます。表面をつくろい、善良であることを偽装する人は、逆に健康面で多くの危険にさらされることになるのです。

次回もどうぞ、お楽しみに。

 

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