サフラン(日本語キャプション付)
今回は、イラン産の香り高い香辛料・サフランをご紹介しましょう。
イランの料理によく使われるサフランは、鮮やかな黄色の香辛料です。これまでご紹介してきたイラン料理やお菓子のレシピにも、何度か登場しました。
サフランは、赤い金のほか、健康の花、香辛料の王様として知られており、イランの一部地域に生育する貴重な植物です。サフランは紀元前から育てられていた植物で、イランなどの寒い冬と暑い夏を有する、降雨量の非常に少ない地域で多く採れます。
イラン以外では、イタリア、スペイン、ギリシャなどが産地となっています。とはいえ、世界のサフランの90%がイラン産、とくに東部に位置するホラーサーン州のものとなっています。イランの次に、サフランの生産が多いのはスペインです。
サフランは、美しい紫色の花の雄しべの部分です。サフランの花は球根を持ち、イランの塩の沙漠に育つため、塩の砂漠の赤い金、あるいは黄金として知られています。だいたい150本の花から1gのサフランが採れ、1kgのサフランを採るには、14万7千本の花が必要です。サフランは、その味と色、香りのために、食品、化学薬品などに多く使われています。また、世界でも稀な、特別な気候でしか生育しないことから、希少価値の高い植物とも言われています。
かつて、サフランは染料としてさまざまな産業に用いられていました。例えば、絹糸、絨毯、インク、色紙、更紗、革や布製品が挙げられます。成分に関して言えば、水分10%~12%、ミネラル7%~5%、脂肪分5%~8%、(また、香りの素となるたんぱく質のエッセンス12%~13%)が含まれています。
サフランは、さまざまな薬効を有していることから、多くの薬品に用いられています。消化、整腸、神経やホルモンへの作用、入眠効果、頭の疲れから生じる不眠症対策、腎臓結石の解消、視力回復、心臓の強化などに効果があります。
料理においても、サフランの着色効果は、料理の彩り、香り、味の引き立てに利用されています。イランの食卓では、サフランが頻繁に使われています。サフランの鮮やかな黄色で彩られた料理は、食欲をそそります。
イラン産の品質の良いサフランを求める顧客が多く存在することは、欧米諸国やアラブ諸国が、この香辛料を好んで使用していることを表しています。イラン産のサフランを輸入している主な国は、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、カナダ、インド、スイス、日本、イギリス、またペルシャ湾岸の国々となっています。
サフランは、揮発性のエッセンスを含んでおり、空気に触れ、光や湿気があるところや、高温下では痛んでしまい、保存方法に注意しないと、その効果を失ってしまいます。このため、サフランは、空気や光の影響を受けない密閉容器に入れて、保存することをお勧めします。