11月 03, 2019 23:05 Asia/Tokyo
  • ギーラーン州の風俗習慣
    ギーラーン州の風俗習慣

イラン人は、昔からもてなし好きな国民として知られています。

かつてイランを訪れた旅行家たちは、その旅行記の中で何度となくイラン人のもてなしについて語っています。この好ましい習慣は今日もイラン人の間で広く見られ、たとえ見知らぬ人であっても温かい歓待を受けます。

 

ギーラーン地方でも、他の地域と同じようにこの良好な慣習が広まっています。ケイカーヴース・イブン・ボシュムギールは、ガーブースナーメと呼ばれる書物の中で、ギーラーンの持て成しを善い習慣だとしています。彼は、「客人が家を訪問すると、その人を歓待するために最大限の努力が払われる。主人は料理を出すと、客人がゆっくりと食事ができるよう部屋を出て行く」と記しています。

ギーラーンの人々の間では、「客人はその費用を伴って来る」という考え方があります。これは、“神が客人にかかる費用をもたらす”という意味です。かつてギーラーン各地、とくに山岳地帯や農村部では、現在のように宿やホテルがなく、一部の家の扉は常に客人に開かれていました。客人が知り合いであれば歓待し、牛や羊をと殺して、大いに敬意を払って家に迎え入れたものです。都市部の人々も、農村や山岳地帯の住民と同じように客人を歓待していました。多くの都市にホテルが存在する今も、様々な事情で親戚の家に行かなかったりすると、ギラーンの人々は心を痛め、「私たちの家は来るに値しないものなのか」と不満を表すほどです。客人に関するギーラーンの格言に次のようなものがあります。

「客人は家の苦しみや不幸を持って行ってくれる」

 

ここからは、ギーラーン地方の人々の衣装についてお話しすることにいたしましょう。今日、伝統的な衣装を用いているのは、女性や村などの辺境地に住んでいる人々です。女性の衣装には、ベール、シャツ、スカート、ズボン、毛糸の靴下、靴、チャドルなどがあります。これらの衣装は、女性が完全にイスラム的な装いをするのを助け、農作業や畜産業など日常的な活動を妨げないようになっています。ラチャクと呼ばれる三角形の布はたいてい白色で、それを頭に巻くことで髪を完全に隠し、その端を額のところで結びます。ルーサリーと呼ばれるベールも白色で、それを二重にして被り、たいてい装飾用のピンで顎の下で留めます。

女性のシャツはたいてい花柄で明るい色をしたものが選ばれ、袖が長くなっています。裾のところには10センチから15センチのひだがつけられています。それらは特別な見栄えを衣装に与えており、長さは膝の上となっています。ギーラーンの女性のこの他の衣装は、花柄、あるはシンプルな柄のおよそ30センチの丈のスカートで、その上にシャツをかぶせます。ズボンもまた通常シンプルなもので、黒色です。

ギーラーン地方の女性

 

ギーラーンの山岳地帯に住む女性の興味深い衣装のひとつにチャドルがあります。チャドルの布は一部の地域では、綿、さらには絹の糸で織られており、独自の模様が使用されています。チャドルは2×2メートルの正方形で、ギーラーンの女性は作業をする際、それを腰に巻きつけます。

ギーラーンの男性の衣装は、シャツ、ズボン、靴下、靴、上着、帯、帽子となっています。シャツは丸い襟と長い袖を伴うシンプルなデザインとなっています。男性のズボンは長く、すそはつぼまっていますが、膝より上はゆったりしており、多くの場合、黒となっています。ギーラーンの男性が着用している靴・チャーログも、この地方の伝統工芸品の一つです。チャーログは、古い履物で、その歴史は数千年前に遡ると言われています。この履物には様々な種類があり、皮でできており、一般にかかとの部分がありません。通常は、長い紐がついていて、それをすねに巻きつけます。かつてギーラーンの多くの村人や畜産業者、農民がチャーログを使っていましたが、新しい近代的な靴が広まり、それはほとんど使用されなくなりました。

ギーラーンの定期市場

 

ギーラーンの人々の間で広まっている慣習の一つに、定期市場の設置があります。ギーラーンの重要なバザールには、常設バザールと、日や週ごとに定期的に開かれるバザールがあります、これらのバザールは大都市の人通りの多い地域にあり、屋根のあるなしに関わらず、通常、町の中心部で商品が売られます。このバザールでは人々が日常必要とする商品や食品が売られています。

ギーラーンの定期市場

 

おおよそすべての都市には、常設バザールと共に決められた日に開かれるバザールがあります。これらのバザールは、各種の食品・食材を売るための中心であり、それらは各地から運ばれてきます。大きな町のこうしたバザールでは、常に新鮮な食品が提供されます。週の決まった曜日に開かれる市もあり、これらは一部の中規模の町をのぞいて、たいていは小さな町や大きな村で開催されています。これらの多くのバザールは長い歴史を有しており、その一部は旅行記や歴史書にも名前が出てきます。今日、ギーラーンでは週の様々な曜日に75をこえるバザールが開かれています。

ギーラーンの定期市場

 

また週に何回も、自分の商品を売るために幾つかのバザールを回る行商もあります。このバザールでは既製品や村でとれた農産品を売ったりします。これらのバザールの他、生きた家畜を売る市場も開かれています。週ごとに開かれる多くの市場では、地元の美しい衣装を身に付けた女性たちが商品を販売しています。こうした風景は町ではなく、このような市場だけで見られるものです。

 

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