イラン料理(103)
北部ゴレスターン州コルドクーイ
コルドクーイは、イラン北部ゴレスターン州の西部にある街です。
コルドクーイの人々は、イラン語群のひとつであるマーザンダラーン語を話します。
この街は、南側に大きな森林が控える美しい避暑地があり、北側にはカスピ海につながっていることから、ゴレスターン州でも最も自然の魅力にあふれる場所のひとつとなっています。
歴史資料から確認されるこの土地の名前の由来は、アフシャール朝時代(1736~1796年)にさかのぼります。この王朝のナーデル・シャーは、イラン西部のコルデスターン州ウーラーマーンを通った際に、射撃が得意なこの地域のクルド系の諸部族を連れて行き、北部のマーザンダラーンやアスタルアーバード(現ゴルガーン)をしばしば攻撃していたトルクメン人に対抗する盾となるよう、この土地に配しました。この場所はそこから、「クルド人たちが住む場所」という意味のコルドクーイの名で知られるようになったのです。実際に、コルドクーイは移民を受け入れてきた土地であり、クルド民族だけでなく、マーザンダラーンをはじめとした各地から移住者が集まって、多様な文化の街を築いています。
コルドクーイの人々は、非常に陽気で活発、客をもてなすことが好きな人々で、さらに、独特な食文化も持っています。その食卓には、一般的に知られるイランの伝統料理に加えて、非常に美味で魅力的な、地域色の強い特有の料理も並びます。この街や周辺の村々に伝わる郷土料理として挙げられるのは、ほうれん草入りのシチューの一種「ホレシュテ・サーク」、ざくろの入ったスープ「アーシェ・アナール」、ハーブ入りスープ「アーシェ・ギャズネ」、詰め物をして焼いた鶏や魚、ナス入り料理「バーデンジャーム・ヴェゼヴァーシュ」などです。また菓子類も、胡桃の粉をプディング状にした「ハルヴァーイェ・ゲルドゥーイー」、米を使った「ベレンジャク」、牛乳の入った「シール・ヌーン」、ゴマを使った「ポシュテ・ジーク」などが、この地の人々の食文化として今日まで伝わっています。
コルドクーイ地方特有の料理には通常、地域で取れるハーブ類が使用されています。この地域で自生するそれらの植物の一部には、ニラに似た「エルズィー(学名:Allium paradoxum)」、セリ科の「ズーラング(同:Eryngium Caucasicum)」や「アナーリージェ(同:Frorepia subpinata)」、ハッカの一種「オウジー(同:Mentha pulegium)」、オドリコソウ属の「ギャズネ(同:Lamium)」などが挙げられます。
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