10月 28, 2021 13:30 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用表現、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介するのは、「人に歯を与えた者は、パンも与える」です。

ペルシャ語での読み方は、Har aan kas ke dandaan dehad naan dehadとなります。

ここに出てくる「人にパンを与えた者」とは、すなわち神を指しており、全体の意味としては、神がその人をこの世に創造したからには、その人が日々の糧に困るような状況にはなさらず、必ずその人に何らかの形でその日の食物を与えて下さる、またはその人が日々の糧を得るべく働いたり、何かの活動ができる力を与えてくださっている、ということになります。

このことわざは、イランの著名な詩人サアディの作品の中の一句が元になっており、そこに綴られているある物語を由来としています。

ある夫婦に子供が生まれましたが、夫は今後この子にかかる諸々の費用をどのように捻出しようかと思案していました。そこで、この子をこのまま見放すのは真っ当な人間のすることではない、どうしたらよいかと妻に相談をもちかけます。すると、妻は毅然とした態度で、「あなたに常に恐怖感を与える悪魔のささやきに乗ってはなりません。この子を私たちに授けてくださった方自身が、この子の日々の糧が得られるよう助けてくださいます」と見事な受け答えをしたということです。

以前から、現代の社会やその今後は先行き不透明、と言われてきましたが、今回のコロナ危機により、ますますその傾向が強まったとよく聞かれます。しかし一方で、人生で一定の年齢に達し、またはある程度の成功を収めてきた方などは特に、「未来は何一つ予測できない。何とかなると前向きに捉えて、今できることに全力投球しなさい」とおっしゃる方が多いようです。

イランの詩人が残したこの名句も、現代の先行き不透明な社会に生きる私たちを、強く励ましてくれるのではないでしょうか。それではまた。

 

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