家庭の重要な機能（１）
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家庭、愛ある場所
前回は、家庭の概念と、この番組の中心的な内容についてお話しました。今回は、家庭の重要な機能について考えることにいたしましょう。
家庭の持つ様々な機能
家庭は社会を形成する要素の最小単位とされています。この組織は、社会のほかの組織と連動して個人が成長する下地となりうるものです。このため、有識者の間では家庭の機能、その影響と重要性の認識が注目されています。家族社会学の研究者や、家庭問題の専門家は家庭を愛情や性、経済の面でのニーズを満たし、次の世代を生み育てる構造であると考えています。
アメリカの社会学者ウィリアム・オグバーンとクラーク・ティビツは、１９３４年に家庭が持つ６つの基本的な機能として、子供を生むこと、保護監督、社会性を身につけさせること、性的行為の調整、愛情を注ぎ寄り添うこと、そして社会的な拠点の確保の６つを強調しています。もっとも、家庭の機能が現代の社会状況や生活様式に従って変化し、新たな機能が追加されていることも考慮する必要があります。このため、家庭の機能として、躾や宗教的な教育、社会的な管理、経済的なニーズの確保、余暇を過ごすこと、人格の成長と安定も含めることができます。
次世代を生み育てる場所としての家庭
家庭の様々な機能の中でも、生活と子供を生むことは特別な位置づけにあります。それは、家庭の存続には次の世代を産み育て、家族を増やす必要があるからです。さらに、家庭に子供が存在することで、家族の絆や喜びが強まります。結婚した夫婦は、遅かれ早かれ子供の誕生を待ち望むものです。
子供をもうける時期やその数、また次の子供を何年後にもうけるかといった事柄については、文化や社会、人によって考え方が異なることがあります。しかし、子供の誕生は全ての国の文化や社会、あらゆる社会階層の人々に注目されています。子供が加わることで、家庭内の雰囲気が和み、喜びがあふれ、夫婦は親としての新たな責任を負うことになります。さらに、食事や衛生面での世話は別として、子供に対する家庭の最も重要な責任は教育や躾と見なされており、この点は家庭のもう１つの機能として捉えられています。
家庭は、適切な環境や条件を整え、子供の教育や躾を監督することにより、子供の将来を決定する上で効果的な役割を果たします。過去において、まだ保育園や新しいシステムの学校が設置される前の時代において、教育や躾、生活の術を教えるという責務は全て家庭が担っていました。このため、子供や少年少女は親元や家族の年長者の下で、非公式の教育を通して、道徳的、社会的なマナーや様々な技術を学んでいたのです。しかし、今日では生活様式が変化したことから、特に複雑化した先進国の社会では家庭の責務の一部が保育園や学校、そのほかの教育機関に委ねられています。ですが、これらの機関のいずれも家庭の役割を完全に果たすことはできない、ということに注目する必要があります。
もう１つの家庭の機能； 身体･精神面でのニーズや健康
身体的な健康や精神面での安全の確保も、家庭の最も重要な責務の１つとされます。精神性や愛情のあふれる環境とともに、家族の安全な食事や衛生を確保する計画により、家族の成長や発展の下地が整います。食事や衛生状態、身体の健康面で必要なニーズが注目されない家庭で、各種の病気にかかる下地ができてしまうことは、言うまでもありません。
一方で、家族の精神的な必要を満たすなどの愛情に関する問題に注目しない場合、好ましくない精神状態を持つ人材を社会に送り出すことになります。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、これについて次のように述べています。
「人間が必要とする最も重要なものは、安らぎである。人間の幸せは、精神的なストレスや緊張から守られ、精神的な安らぎが得られることである。家庭は、これを与えてくれる」
複数の研究調査によりますと、精神的な健康に欠ける夫婦の子供は、不健康で他人と同調しない人間に育ってしまうことが多いということです。うつ病に陥った母親の子供の多くは、他人との関係を築けず、引きこもりがちであり、またうつ状態にある人々は個人的にも、また社会的にも多くの問題に直面します。このことから、結婚して家庭を築く際、そしてその後の長い共同生活において、自分やほかの家族の精神的、愛情面でのニーズに注目し、この分野に関して必要な情報の獲得や教育を推進する必要があるのです。
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