3月 09, 2024 18:55 Asia/Tokyo
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    フランス憲法に人工中絶の権利明記へ

フランス議会は上下両院の合同会議で、女性が人工妊娠中絶を行う自由を憲法に明記することを賛成多数で承認しました。人工中絶の権利が一国の憲法に明記されるのは、世界で初めてのことです。人工中絶の権利は、女性が自らの身体に対して自己決定権を持つという考えから提唱されています。しかし、言うまでもなく胎児も一人の人間です。

西側文明では出産に対する価値観が低下しています。知識人らが女性に対し、自分のために時間を使い、生きる上での様々な欲求を子供のために犠牲にする必要はないと説いています。

 

母体の中の胎児

 

西側のこうした個人主義は、子供を面倒な存在とする見方を助長しています。イランのシーア派イスラム法学者であるアーヤトッラー・シャアバーニー師は、「政治が女性を玩具のように扱い、家庭を享楽主義者の道具にしてしまえば、社会は脆弱になり、女性は物のように扱われる。このことはクルアーンの中でも災厄として位置づけられている」と語ります。

西側文明では女性の権利がやたら謳われますが、ここで疑問なのは、過去何世紀にもわたりフェミニズムやモダニズムといった運動を通じて提唱されていきたこうした権利は、社会や女性たちにどのような弊害をもたらしてきたのかということです。

 

人工中絶許可に抗議する西側市民

 

西側のモダニズムの特徴は、家族や親族との関係を断ち切り、それらの影響力を削ぐことでした。西側文明は家族愛というものを産業やテクノロジーの犠牲にし、多くの家族を脆弱なものにしました。

リベラリズムでは、子供は家庭の物質的成長を妨げるものとされます。こうした思想では、子供を育てるかわりに自分のために時間を使うことがもてはやされ、子供がいる場合は保育園などに預けて、空いた時間を自己投資に使うことなどが推奨されます。

 

フランス憲法に人工中絶の権利明記へ

 

 

クルアーンに登場する物語のひとつに、神がイスラエルの民をエジプトのファラオから救ったというものがあります。ファラオはイスラエルの民のすべての男性を殺し、女性だけを生かしました。シーア派イスラム法学者で神秘主義思想に通じた故アッラーメ・タバータバーイー師は、ファラオによってイスラエルの民にもたらされた災厄について自身のクルアーン注釈書の中で「女性だけを生かしたのは、ファラオが彼女らを享楽の対象として見ていたからだ」と記しています。

西側文明では、子供の代わりにペットを飼うことも普及しています。クルアーンの見方ではこれも災厄にあたります。なぜなら、子供は神からの恵みであり、両親は子供を育てることで、家庭や人間という存在の中に愛を見出すからです。西側では、人間は享楽だけを追い求める存在になり果て、子供もその享楽の妨げとみなされているのです。

人生から家庭というものがなくなれば、人間の成長や倫理といったもには何の価値もなくなり、人間は魂のないただの生き物ということになります。そして、死後の世界や天国・地獄という概念も嘘とみなされ、ゆくゆくは人間から精神性が失われ、動物と変わりない存在になっていきます。

 

西側の女性と社会により押し付けられた個人主義


イスラームでは、家庭は最も神聖な基盤とみなされています。そして神は、女性が社会の視線、つまりファラオのような享楽主義的視線から守られるべきとしています。

また、イラン・イスラム革命を牽引した思想でも、女性は社会の母・監督者とされ、女性の価値はその身体で決まるものではないと強調しています。それゆえ、他者が女性を性的な目で見ないようヒジャーブなどの適切な服装が推奨されるのです。

 

昨年の杭州アジア大会で生後3カ月の子供を抱えながら射撃銅メダルに輝いたイランのサーレ・ジャヴァーンマルディー選手

 

クルアーンのアッ・タフリーム(禁止)章では、ファラオの妻であったアースィーヤを人間として模範として紹介しています。ファラオは自分を神だと公言する暴君でしたが、アースィーヤはそれに抵抗し、唯一神信仰を守り続けました。クルアーンではアースィーヤは、女性だけでなく男性にとっての模範ですらあるとしています。

西側はこうした人格形成を目指すイスラームにとって常に敵であり続けてきました。記憶に新しいのが、2022年秋にイランの女性マフサー・アミーニーさんが心臓発作で死亡したことを利用して、「女性・命・自由」といった嘘のスローガンを用いて、イランにおける女性や家庭の地位に関してマイナスイメージを拡散した一件があります。

 


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