ラマザーンへのいざない(18)カールーン
(last modified Wed, 29 May 2019 19:30:00 GMT )
May 30, 2019 04:30 Asia/Tokyo
  • カールーン
    カールーン

今回は、カールーンの物語をお届けすることにいたしましょう。

カールーンは、預言者ムーサーの近親者の一人で、ユダヤ教の聖典から多くの知識を学んでいました。彼は最初は敬虔な人間の一人でしたが、富を誇るうちに、不信心に走るようになりました。カールーンは、イスラエルの民の間で、フィルアウンの代表者であると同時に、フィルアウンの財産を管理する人間でもありました。フィルアウンは、イスラエルの民の財産のすべてを奪うために、残忍で狡猾な偽善者であったカールーンを、イスラエルの民の中から選び出し、それらの財産を管理する任務を与えることで、それらを統治機関に有利な形で搾取させようとしました。また、カールーンもこれによって、莫大な富を手に入れることができたのです。

 

フィルアウンが滅亡した後、莫大な富や財宝がカールーンの手に残りました。預言者ムーサーは、そのようにして残されたフィルアウンの財産を、貧しい人々や恵まれない人々のために使いたいと考えましたが、カールーンにそのことを話す機会を得られずにいました。そして、預言者ムーサーがカールーンにそれを喜捨するよう話したとき、カールーンの本当の姿が明らかになりました。預言者ムーサーがカールーンに喜捨を義務付けた後、カールーンはすぐに、莫大な額を支払わなければならないことを悟りました。そのため、喜捨の支払いを断ったのです。

 

カールーンは、莫大な富を有し、社会の慈善活動を行う上で大きな力を持っていました。人々はカールーンに、その富の一部を善い行いのために費やすよう求めていましたが、欲張りなカールーンはそれに応じようとしませんでした。

イスラエルの民の敬虔な人々は、カールーンにこう言いました。「現世からのたくわえを忘れてはならない。人間は一体どれほど食べられるというのか。好きなだけ飲んで食べ、家を何軒も持ち、家畜を何頭も飼う。これらすべてを持っていたとしても、そのいずれも、来世に持っていくことはできないのだ。あなたが手にした財産の中から、必要なだけを自分のために取り、残りは施しをするがよい。カールーンよ、健康、力、若さ、喜び、心の豊かさを忘れてはならない。それらを来世のために使うのだ。カールーンよ、あなたが今持っている財産や機会を忘れてはならない。神から慈悲をかけられた分、あなたも慈悲をかけなさい。地上で堕落や腐敗を追い求めてはならない。神は堕落した人間を好まれない」

しかしカールーンは、これらの言葉を聞いても、我に返って反省するのではなく、高慢な態度でこう言いました。「この富は、私の知識によって手に入れたものだ」

 

カールーンは、恵まれない大勢の人々の前で、自分の莫大な富を示し、その不遜な態度をあらわにしました。ある日、カールーンは、最大限に着飾った姿で人々の前に現れました。現世の富を追求していた人々は、こう言いました。「ガールーンに与えられたものを、私たちも持っていたらよかったのに」 しかし、イスラエルの民の敬虔な人々、知識を持っていた人々は言いました。「あなた方の何と不幸なことか。信仰をもち、善い行いをした人への神の利益の方がよりよいものである。それを受け取ることができるのは、忍耐強い者だけである」

 

カールーンのこのような態度はまもなく終わりました。神はカールーンと彼の家を地面に沈めてしまったのです。あれほど多くの富や財産を持っていたにも拘わらず、カールーンは誰かの助けを得ることができず、また自分で自分のことを助けることもできませんでした。そして、カールーンのようになりたかったと願っていた人々は、この場面を目にしたとき、こう言いました。「神の恩寵がなかったら、私たちも大地の底に沈んでいただろう」

 

ただいまお聞きいただいたのは、カールーンの物語でした。カールーンの物語は、コーラン第28章アル・ゲサス章物語り、第76節と82節に出てきます。

 

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