アゼルバイジャン;去就は「自由」、ナゴルノでの「民族浄化」否定
アゼルバイジャンが、同国領内にあるアルメニアとの係争地・ナゴルノカラバフ地域での「民族浄化」を否定し、この地のアルメニア系住民の去就は自由だとしました。
フランス通信によりますと、アゼルバイジャンのヒクマト・ハジエフ大統領補佐官は先月30日、係争地ナゴルノカラバフからアルメニア系住民を排除するため「民族浄化」が行われている、とのアルメニア側の主張を否定し、同地にとどまるか離れるかは自由だとの考えを示しました。
また、「われわれが民族浄化やジェノサイド(集団殺害)を行ったとする主張は受け入れ難い」、「30年前、われわれに対して民族浄化を行ったのはアルメニアの方だ」と主張しました。
その一方で、「しかし、同じやり方をするつもりはない。民間人への暴力や残虐行為は一切行われていない。住民自身が証言していることだ」と表明しています。
さらに、ナゴルノカラバフの住民について「われわれは常にアゼルバイジャン国民と見なしてきたが、不幸にも、非合法の分離主義勢力が彼らとの直接対話を許さなかった」と説明しました。
そして、「戦争犯罪」に関与した容疑で当局が「5~6人」を拘束したとする一方、「銃を置けば自由になれる。人々は自らの意思でアルメニア行きを選んだ」と指摘しています。
加えて、「大多数が『アゼルバイジャンの国旗の下では生きていけない』と言っている」のは「理解できるし、尊重する」とした上で、アゼルバイジャンの市民権を受け入れる場合は権利と安全を保証し、地方自治体としての体制の下、宗教・文化に関する権利も確約すると述べました。
アルメニア系の分離派当局は先月28日、「政府機関」を解体し、ナゴルノカラバフのアゼルバイジャンへの正式な再統合を認めることに同意しました。
その一方でアルメニア側は、アゼルバイジャンが不法に住民を逮捕しており、住民は報復を恐れて避難していると主張しています。
アゼルバイジャンは先月20日、ナゴルノカラバフで「対テロ作戦」を実施し、主権を回復したと発表しました。
これを受けてアルメニアのニコル・パシニャン首相は、アゼルバイジャンがアルメニア系住民を排除する民族浄化を行っていると再三非難し、先月30日には、「ナゴルノカラバフ地域の住民約12万人のうち10万人超がアルメニアに逃れてきた」と述べていました。
アルメニアとアゼルバイジャンはいずれも旧ソ連からの独立国で、イランの北西部と陸の国境を有しています。
イランはこの両国の隣国として常に、この両国に対し自制とナゴルノカラバフ問題の平和的解決を求めてきました。