イラン中部の国際都市メイボド、織物「ズィーロー」の発祥地
イラン中部ヤズド州の町で生産される、ズィーローと呼ばれる独自の手織りの敷物は、同国の芸術家の文化や思考が反映された、後世にまで残る遺産です。
国際通信イランプレスによりますと、広大な国土を持つイランでは、各地に独自の名所や名品が存在しており、このことは広く人々に知れ渡るとともに、世界的でも有名になっています。
ヤズド州メイボド郡は、観光面での多様な可能性を秘めているとともに、手工芸品の分野でも成功を収めている地域の 1 つです。
メイボドで生産されている、ズィーローと呼ばれる独特の手織りの綿の敷物は、2018年11月26日にこの地域がズィーローの町として国際的に登録されたことで、その生産が再び最盛期を迎えようとしています。
この綿織物は、イスラム以前の時代にも使用されていた古く歴史的な製品であり、11世紀のイランの詩人・思想家ナーセル・ホスローも、自らの旅行記でズィーローを生産する織物工房が500カ所あると言及していました。
植物、動物、幾何学模様といった、純粋なイラン発祥とされるシンプルながらも神秘的な図柄が施されたこの手織りの生地は、特別な技術で織り上げられています。またそれらには、砂漠地帯の文化的・芸術的思考が秘められており、地面の熱を吸い取るという特性も持っています。
メイボドの町がズィーローの生産地として国際的に登録されたことにより、芸術と産業の進歩の新しい扉が、現代の若者や旧来からのズィーロー職人らに開かれました。なぜなら、直接的な独自の雇用がより盛んになり、その結果、国に良い外貨収入をもたらすことにもなるからです。
あらゆる種類の手織り製品を生産するこの織物職人の創造性により、イラン本来のモチーフを保存する土台が築かれるほか、この織物が世界市場に参入する新たな道が開かれる可能性も出てくるのです。