ペルシャ湾3島をめぐる中国の主張、対イラン疑惑の悪循
(last modified Sun, 11 Dec 2022 12:28:07 GMT )
12月 11, 2022 21:28 Asia/Tokyo

中国とペルシャ湾岸協力会議による共同声明、そしてこの声明におけるペルシャ湾に浮かぶ一部島々のイランの領有権に関する主張を受け、イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相が10日土曜夜、ツイートにおいて「ペルシャ湾に浮かぶ大トンブ島、小トンブ島およびブームーサー島は、わが国の不可分の領土であり、これらの地は恒久的にわが国に属することになる」と述べました。

中国とペルシャ湾岸協力会議の共同声明では、4つの条項にわたりイラン関連問題に言及されており、その中の第12条では「(中国とペルシャ湾岸協力会議の加盟国の)指導者らは、国際法に基づく二国間交渉を通じた大トンブ島、小トンブ島、ブームーサー島の3島の問題の解決に向けた平和的方策に到達するためのUAEアラブ首長国連邦のイニシアチブ、提案を含むすべての平和的努力を支持する」と明記されています。

 アナリストらは、中国の習近平国家主席によるこの動きを、ペルシャ湾岸地域における中国の立場に前例のない変化が生じた、との見方を示しています。これまで、中国政府は自らが宣言した政策の中で、西アジアを含む他国間の物議を醸す問題への干渉を避けてきました。このため、ペルシャ湾南岸の国々の反イラン的立場を公然と支持することは、常軌を逸した姿勢と見なされています。

そのような会議で、アラブ諸国の政権は通常、これらの島々の領有権をめぐるUAEの主張の問題を提起し、対イラン非難の悪循環を繰り返しています。しかし、イランは常にこれらの3島を自らの固有かつ不可分の領土であると考えており、これらの島々に関するアラブ首長国連邦の主張を拒否・否定しており、交渉の余地はないとの立場をとっています。

大トンブ島、小トンブ島、ブームーサー島

信頼性ある有効な文書も、前述の3島がイラン領に属していることを証明しています。たとえば、1881年の英国海軍の地図、1863年の英国海事省の地図、さらに1886年に英国陸軍省が作成したイランの地図では、これらの島々はイラン領として着色されており、このことはこれらの島々の領有権がイランにあることを示しています。

 

しかし、なぜ習近平国家主席は、この反イラン的な主張をめぐりペルシャ湾岸協力会議のメンバーと足並みをそろえたのでしょうか?

おそらく、これに関しては中国の経済的動機が最も突出していると思われます。中国は、ペルシャ湾南岸のアラブ諸国との最大の利益獲得に基づく経済志向のアプローチを踏襲しています。こうした政策の例として、カタールとのガス契約の調印や、サウジアラビアとの戦略覚書の調印が挙げられます。

イランの国際問題アナリスト、ベヘシュティープール氏はこの問題について、「ペルシャ湾岸諸国との関係は2013 年に開始され、現在も続いている中国の野心的な経済計画の一部である」と述べています。

 


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