一日一冊、本の紹介(10)
滝は、神の偉大さを示すしるしのひとつであり、これを目にする人は、至高なる創造主を賞賛せずにはいられません。
高い岩から流れ落ちる滝は、水の壮大さと岩の堅固さを示すもので、その水は滝つぼの中に落ちていきます。滝の傍らに座り、水と岩のたわむれを眺めていると、人間は心の安らぎを得ます。水の流れ落ちる音は、耳に心地のよいものであり、聞く者を飽きさせないといえるでしょう。また、適切な湿度や滝の周りに飛び散るしずくにより、そこには独自の動植物が育つ環境が生まれています。例えば、薬草やわらびは、古いの入り口や滝の周辺にのみ、見られる植物です。この植物は、滝が近くにあることを象徴するものであり、イランの伝統医学において特別な地位を有しています。
さて、今夜ご紹介するのは、「イランの滝」という本です。ここまでお話したのは、この本の序章でした。この本は、イランの滝の百科事典となっており、イランの滝に関する重要な情報が、非常に美しい写真と共に提供されています。イランの滝だけでなく、自然、その滝へのアクセス方法、都市からの距離、滝の水量が多くなる時間帯といった情報も、この本から得ることができます。
イランには、季節によって現れる滝が392箇所、一年を通して見られる滝が287箇所あるとされています。「イランの滝」という本では、300を超える滝が紹介され、1500を超える自然の魅力や生態系に言及されています。また記述と共に、鮮やかな写真も掲載されています。
イランには数多くの滝が存在し、それらの名前は、イランの歴史と融合しています。ギャンジナーメ、シューシュタル、ビーシェ、セミーロムといった滝がその例で、経済や観光の観点から、当時の為政者たちの注目を集めていました。これらの滝を利用して灌漑設備が整えられていました。また、シューシュタルの滝は、サーサーン朝時代の世界で初めての灌漑設備として、ユネスコの世界遺産に登録されています。イラン西部ハメダーンにあるギャンジナーメの滝は、アケメネス朝のキュロス王の歴史的な碑文の傍らにあり、イランの驚くべき自然や古代イランの壮麗さを示しています。
「イランの滝」という本は、イランの自然散策に適したガイドブックであり、全部で300ページ、マジード・エスキャンダリーによって美しい写真と共に出版されています。