一日一冊、本の紹介(12)
(last modified Wed, 07 Dec 2016 08:26:46 GMT )
12月 07, 2016 17:26 Asia/Tokyo
  • 一日一冊、本の紹介(12)

「インドのペルシャ語詩」という本は、インドの文学研究者であるス二ル・シャルマが記し、レイラー・アーガーヤーニー・チャーヴォシーが翻訳し、最近、イランで出版されました。

この本は、マスウード・サアド・サルマーンの詩に関する研究書です。著者は、ガズニー朝の統治体制と宮廷詩人の交流の形について説明し、それに続いて、この詩人が記した詩に関する情報を提供しています。

著者であるス二ル・シャルマはまず、マスウード・サアドの生涯について詳しく説明しています。本の最初の部分では、マスウード・サアドは1046年にインドラホールで生まれたものの、イラン西部ハメダーンの血が流れており(出自であり)、詩の中で何度もそのことに触れているとあります。マスウード・サアド・サルマーンが生きた時代は、ガズニー朝の6人の皇帝の時代にあたり、彼の文学生活は、宮廷で詩を歌うことから始まりました。彼の正式な職業は、宮廷の司書でしたが、当時の皇帝を称賛する多くの詩を記しました。マスウード・サアド・サルマーンは、80歳の時に亡くなり、そのうちのおよそ20年は、監獄で過ごしました。

マスウード・サアド・サルマーンの詩は、プロとしての宮廷詩人を象徴するもので、当初はガズニー朝の支配者や関係者を称賛するものでしたが、のちにその支配者たちの憎しみをかい、何年にもわたり獄中生活をおくることとなりました。彼は、監獄での厳しい生活の中で、多くの詩を記しました。マスウード・サアドは、イランとインドの2つの文化が融合する地に生きていました。彼はイランの文化の中心地から離れた環境の中で、イランの詩人として有名になることを強く望んでいました。そのため、アラビア語やヒンディー語で詩を歌い、すべての民族の間で地位を獲得しようと努めました。この本の作者は、この詩人が伝統的な方法によって頌詩の朗吟に多様性をもたせること努め、ペルシャ語やペルシャ文学の歴史において、高い名声と文学者としての地位を得たとしています。

「インドのペルシャ語詩」という本は、5章から成り、その中では、地理や文化の問題、様々な民族の文化の成熟にその社会が及ぼす影響、統治体制と芸術家の交流の形について記されています。

「インドのペルシャ語詩」という本は、全部で262ページあります。