一日一冊、本の紹介(20)
「イランとイスラムの思想家全集」という本は、40巻以上あり、それぞれが、イランの文学や文化界の偉人の一人の人生や作品、思想を紹介するものとなっています。
これらの本の作者たちは、それぞれの人物を紹介する上で、同じ構造を利用しています。人生を簡単に紹介し、その人物が生きた時代に起きた重要な出来事に触れ、その後、その人物の作品を紹介しています。
12世紀は、ペルシャ語詩の繁栄の時代であり、偉大な詩人たちの作品の質と量の点で、際立った特徴を持っています。ファリードッディーン・アッタール・ネイシャーブーリーは、イランの文化、文学、神秘主義の柱であり、「鳥の言葉」、「神秘の書」、「神の書」、「厄災の書」など、数々の貴重な作品を残しています。歴史を通して、多くの思想家が、アッタールの人生や作品に関して書籍を記してきました。ダーネシュパジュー博士は、長年に渡り、ペルシャ語とペルシャ文学の教育に従事し、アッタールの人生や作品に関して記した一人です。ダーネシュパジュー博士は最近、亡くなりました。「影の間の太陽、イランとイスラムの思想家全集」は、アッタールの人生と作品に関する書籍です。
作者は、このような全集の通例に従い、12世紀の状況を説明することで、まず、その詩人が生きた時代の背景を紹介しています。この本には次のようにあります。
「間違いなく、アッタールは、ペルシャ語詩の神秘主義的な側面を最も高い位置へと導いた。アッタールは、モウラヴィーのような人物のために道を開いたと言える。彼は人生において、誰かを賞賛したり、国王や首長が賞賛された詩を記したりすることのなかった、数少ない詩人の一人である。アッタールは、神秘主義的な叙情詩に長けており、彼の深い思想は、これらの詩の中で最高の形で現れている。この偉大な神秘主義者は、自分の言いたいことを伝えるため、動物を軸とした物語や寓話など、あらゆる手段を用いた。今日、アッタールの“鳥の言葉”は、ペルシャ文学を代表する寓話のひとつだと言える」
「影の間の太陽、イランとイスラムの思想家全集」は、全部で168ページあります。