一日一冊、本の紹介(50)
イランは古い文明と文化を有しています。
イランの文明の歴史は数千年にさかのぼり、歴史のあらゆる時代において、さまざまな国の歴史家、探検家、東洋学者、文化関係者の注目を集めてきました。それにも拘わらず、過去から現在まで、イランにおける「オロスィー」と呼ばれる格子窓の芸術に関して語った東洋学者はほとんどいません。
オロスィーはイランの建築要素のひとつです。オロスィーは木製の窓の役割を果たし、その美しい例は、イスファハーン、カーシャーン、ヤズドの古い家に見られます。美学的な観点から、オロスィーは、枠組みによって光を分散し、それに色の多様性を与えるものとされています。
オロスィーは、サファヴィー朝以降に芸術史の中で名声を得るようになりましたが、イランの伝統芸術の一部であり、イランの文化や歴史に根ざしています。オロスィーは、自然、技術、数学、芸術、神秘主義哲学が融合したものであり、木、ガラス、漆喰などが使われています。
「オロスィー、光への窓」という本は、マフディ・アムラーイーがイランの木製の窓をテーマに記した書籍です。この本の第一章は、イランの建築に見られる様々な種類の窓、木の装飾、そして木の歴史について述べています。その後、オロスィーの地位やそのデザインの歴史について検討しています。
「オロスィー、光への窓」という本では、オロスィーは多くが、ひとつの部屋の外に面した部分全体を占める形で作られていたとあります。オロスィーの格子の部分には幾つかの機能がありました。それらの機能には、内部に光を取り入れること、外の景色が見えるようにすること、日差しの強さや熱を抑えることなどがあります。オロスィーは通常、長方形をしており、上の部分は天上の下まで長方形や三日月形の色とりどりのガラスで装飾されています。