ドキュメンタリー・イラン(23);南東部ケルマーン州のバム城砦(日本語のナレーション付)
今回は、イラン南東部ケルマーン州にあるバム城砦を、映像とともにご紹介してまいりましょう。
この古い建造物は、バム城砦です。この城砦は、イラン南東部ケルマーン州バム市にあり、大きな要塞都市の中央の最も高台に位置し、この要塞全体を指してバムの城砦と呼んでいます。
この城砦は、総面積がおよそ180平方キロメートルに上る荒野に造られています。この城砦が正確にいつごろ建設されたのかは、あくまで推測の域を超えませんが、紀元前6世紀から4世紀のアケメネス朝時代のものである確立が高いとされています。この城砦には、2000年間にわたる様々な時代に人々が暮らしていましたが、その後今から200年ほど前のガージャール朝時代には人々からうち捨てられ、無人地帯となりました。
2003年に、バムの城砦は大震災に見舞われ、ほぼ全壊しました。この城砦の修復に当たっては、複数の国がイランと協力し、この城砦の再建・修復に向けて全力を尽くしました。
バムの地域は、ひところは最も重要な交易地域とされ、絹織物や綿布の生産により名声を博していました。実際に、この城砦はシルクロードの要衝に位置し、アジアとヨーロッパの中継点とみなされていました。
2003年の震災前には、バムの城砦は泥でできた建造物としては世界最大級とされ、また家屋のすべては泥を焼き固めたレンガで造られていました。
バムの城砦群は、為政者の領分と一般住民の領分の2つの部分に分かれており、為政者の領分を一般住民の領分が取り囲んだ形になっていました。為政者の領分には、為政者の住居や兵舎、家畜小屋、浴場、監視塔などが設けられ、一般住民の領分には、宗教施設や隊商宿、公共浴場、市場などといった様々な建築物が存在していました。なお、これらの2つの主要な領域は、1つの出入り門により相互に接続する仕組みになっていました。
バムの城砦は、高さのある塀や塔に囲まれ、塀のほかにも風を利用した天然の冷房設備で、バードギールと呼ばれる風取り塔が本数多く設けられていました。これらの塔により、吹いてきた風を閉じ込め、冷風として建物の方向に誘導できる仕組みになっていました。
バムの城砦は、ユネスコ世界遺産に登録されています。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://twitter.com/parstodayj