ドキュメンタリー・イラン(26)
フーゼスターン州の水利施設群(日本語のナレーション付)
今回は、イラン南西部フーゼスターン州へと足を伸ばし、2000年以上の歴史を持つシューシュタルの水利施設群をご紹介してまいりましょう。
シューシュタルの町は、フーゼスターン州に位置し、イランの歴史ある町の1つとされています。この町は、大規模な水資源と肥沃な土壌を有することから、歴史を通して常に注目されてきました。
ここにある水車も、非常に大きな名声を博しており、この水利施設群の歴史は2000年以上前のサーサーン朝時代にさかのぼります。当時、シューシュタルはカールーン川のほとりにある都市の中でも最も大きく重要な都市の1つでした。
カールーン川により生産されるエネルギーを合理的に利用するため、イラン人の技師たちはこの歴史ある水利設備を建設しました。
このシステムでは、ギャルギャル川にかかっている橋の背後を流れる水が、この水利施設に誘導される仕組みになっています。
ギャルギャル川にかかっている橋により、カールーン川の水かさが増し、この河川の水は岸壁に掘られた水路に誘導されます。また、イラン人技師たちは、水路を流れる水が、その水源であるカールーン川に再び戻るように、この施設に特別な誘導水路を掘削しました。
シューシュタルの人工的な滝は、この地域の最も重要な観光名所となっています。
遠い昔、シューシュタルはイランの夏の中心地でした。ここには、毎年多数の観光客が訪れ、その美しい絶景を堪能するとともに、その独自の技術に感銘を受けています。
シューシュタルの水利施設群は、2009年にユネスコ世界遺産に登録されました。
シューシュタルの水利施設群は、複数の小さな河川や美しい滝、そして数多くの橋や水路により構成され、世界で最もよく知られ人気のある水力発電設備の1つとされています。
この水利施設内のトンネルは、常に一定の量の水を水車の方向に誘導するように設計されています。これらの車輪は、水流の速度を増すために設けられたもので、これにより水車により大きな水圧がかかる仕組みになっています。
シューシュタルの水利施設群の主な機能は、農業用地への灌漑でした。このため、シューシュタルの町では常に農業が栄え、農産物が生産されていました。
過去には、この地域ではおよそ40の水車が利用されていましたが、それらの多くは時代の経過とともに破壊され、現在ではごくわずかの水車のみが残っています。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://twitter.com/parstodayj