週刊イラン
(last modified Tue, 21 Aug 2018 09:45:49 GMT )
8月 21, 2018 18:45 Asia/Tokyo

この時間も、この1週間のイランの出来事を振り返ってまいりましょう。

この1週間の主な出来事です。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、アメリカとの協議について語りました。

イランのミサイル分野の新たな業績が公開されました。

その他、いくつかの文化や科学に関する出来事をご紹介します。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、先週月曜、数千人の国民を前に、イランの経済状況、アメリカによる制裁や脅迫と協議の提案について、重要な表明を行いました。

 

「正確な分析、過去の経験、理不尽な政権との協議による多くの損失を理由に、我々はアメリカとは協議しない。体制責任者と国民の連帯と統一により、この局面を無事に乗り越えるだろう」

 

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師

 

ハーメネイー師は、協議の真髄とは、外交的な慣習においては取り引きだとし、次のように述べました。

 

「アメリカは、あらゆる協議の中で、政治、メディア、資金の力により、自分たちの目的の実現を阻むあらゆる抵抗を挫折させようとする」

 

ハーメネイー師はまた、次のように語りました。

「我々は、政治、経済、文化の面で納得のいく力をつけ、アメリカの圧力の影響を受けなくなったときに、アメリカとの協議というリスクを負うことができる。だが現時点では、協議は我々の不利に終わるため、禁じられる」

 

明らかに、イランは脅迫されながら、アメリカと話し合うことはありません。アメリカのトランプ大統領によるイランとの協議の提案は、単なる過去の経験の繰り返しであり、プロパガンダ的なものに過ぎません。

 

ハーメネイー師のこの問題に関する発言は、非常に明白なものです。ハーメネイー師は、これについて過去を指摘し、次のように語りました。

 

「国内の一部の人々の考えに反し、アメリカの協議の要請は目新しいことではない。この40年、彼らは何度もそれを繰り返してきたが、イランから拒否されてきた。今よりもずっと力を持っていたアメリカのレーガン大統領でさえ、秘密裏に関係者を協議のためにイランに派遣したが、24時間後には何の成果燃えられずに帰国した。アメリカは協議の中で、表面的には約束だけするが、相手側には具体的な利点を求め、約束だけでは受け入れない」

 

ハーメネイー師は、体制の立場に対して世論に疑念や不安を抱かせることが、イラン国民の敵の明らかな目的だとし、次のように述べました。

 

「彼らは、経済戦争によって不満を作り出し、そのような不満が混乱や暴動につながることを望んでいる」

 

政治問題のアナリストであるガーセムザーデ氏は、新聞エテラーアートで、トランプ大統領の新たな軍事、安全保障戦略について次のように記しています。

 

「トランプ大統領は、中東での政策や計画のすべてを、2つの原則によって追求している。一つ目は、特に経済的な制裁の実施によってイランを弱めること、そして二つ目は、アメリカのすべての中東政策をシオニスト政権イスラエルの力の安定に合わせることである」

 

 

イランの新型ミサイル「ファーテ・モビーン」

 

先週、イランの新型ミサイル「ファーテ・モビーン」が公開されました。イランのハータミー国防軍需大臣は、この公開式の中で次のように語りました。

 

「現在、このミサイルに対抗できる障害はない。その理由は、高い柔軟性と戦術、標的を選ぶ上での性能にある。イラン軍が必要とするすべての可能性は国内の力により、外国に依存せずに完全に確保されている。イランは新たな業績、特にミサイル・ファーテモビーンによって、しばらくの間、安全を保障することができる」

 

イランは、敵の脅威に対する防衛力や抑止力の強化、そして地域の安全と安定の維持において、一瞬たりとも躊躇することはありません。明らかに、イランの軍事力は、敵を悩ませるものであり、脅威に対する障壁です。そのためアメリカは、常に、イランの防衛力を脅威に見せ、制裁という手段を使ってそれを弱めようとしています。

 

アメリカのシンクタンク、アメリカン・エンタープライズは、昨年8月、報告の中で、イランは、世界の大国によるイラクのサッダームフセイン政権への大規模な支援によって始まったイラン・イラク戦争の中で、特にイラク軍の住宅地や都市に対するミサイル攻撃により、大きな被害を蒙ったとしています。

 

イランのミサイル能力は抑止力であり、イランは防衛のためのミサイル計画について、他国と協議をする意向はありません。なぜなら他国に対する脅威ではないからです。

 

一方でイランは、ペルシャ湾岸のアラブ諸国とは異なり、数十億ドルもの武器の購入を追求したとはありません。なぜなら、自国の防衛上のニーズは、国際法に則り、イランの専門家の技術と国内の可能性を利用して確保することができるからです。イランのザリーフ外務大臣は、ドイツの著名なジャーナリスト、ユルゲン・トーデンヘーファーのインタビューで、次のように語っています。

 

「イランが兵器にかける予算は地域の他の国に比べて少ない。サウジアラビアは我々よりも長距離の核弾頭搭載可能なミサイルを有しているが、我々のミサイルはそのようには設計されていない。サウジアラビアのミサイルは射程2500キロの大陸間弾道ミサイルである。しかし我々のミサイルは核弾頭を搭載できず、射程は最大でも200キロである。我々はこの種の兵器を他国に対して使用することはない。また、それを使用するのは攻撃をうけたときのみだと宣言している」

 

先週、イランの偉大な芸術家が亡くなりました。イランのテレビ、映画、演劇界で活躍した著名な俳優、エッザトッラー・エンテザーミー氏が、先週金曜朝、94歳で亡くなりました。

 

エンテザーミー氏は、国際フェスティバルで賞を受賞した初めてのイラン人俳優でした。彼は、シカゴ国際映画祭で、「牛」という映画の主演男優賞を受賞しました。また、俳優として多くの貴重な作品を残しました。

 

ここからは、イランの科学の分野の出来事や成功について見ていきましょう。

 

国際数学連合は、先週、イラン数学協会女性委員会の提案により、イラン人数学者の故マリヤム・ミールザーハーニーさんの誕生日であった5月3日を、国際女性数学デーに制定しました。

 

 

マリヤム・ミールザーハーニー氏

 

マリヤム・ミールザーハーニーさんは、スタンフォード大学の教授、イラン人女性数学者で、2014年に数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を女性として初めて受賞しました。

 

このイランと世界の数学者は、それから3年後の昨年、がんで亡くなりました。

 

現在、科学の分野でイランの成功が続いています。スペインの機関、サイマゴジャーナルの統計によれば、1996年から2016年の10年間に、イランは科学の分野で大きな成長を遂げ、2016年には6810本の論文を発表し、数の点で、中国、アメリカ、インド、ドイツ、日本、ロシア、韓国、イギリス、フランス、イタリアに次いで11位となりました。

 

またイランは地域において、インフラの点で2位、発明の点で2位、測量では5位、通信では7位、衛星技術の分野では5位、不妊治療では2位となっています。

 

また、世界の大学ランキングにも、イランの複数の大学が入っています。イスラム世界科学文献データベースのデフガーニー氏は、先週、上海交通大学・大学研究センターが発表した2018年の世界大学学術ランキングで、イランの13の大学が世界の上位1000大学に入ったとしています。

 

この1000位以内に入った大学には、テヘラン大学、アミールキャビール工科大学、シャリーフ工科大学、テヘラン医科大学、エルモサナアト大学、教育大学、イスファハーン工科大学、シーラーズ大学、タブリーズ大学などがあります。

 

また、先週、韓国で開催された青少年の発明能力を競う世界青少年オリンピアードでも、イランの選手の活躍が伝えられました。

 

この世界青少年オリンピアードで、イランは小中高生と大学生の2つの部門で12個の賞を受賞しました。小中高生の部では、金メダル1個、銀メダル3個、銅メダル2個、特別賞2個を獲得し、大学生の部では、金と銀のそれぞれ1個と銅メダル2個を獲得しました。