視点
国連人権理事会が対イラン声明、国連組織を手段として利用
在スイス・ジュネーブ国際機関イラン政府代表部のバガーイーハーマーネ大使が9日火曜、第46回国連人権理事会会合で演説し、イラン国内の人権状況に関する国連特別報告者の事実を歪曲した不公平な声明を強く非難するとともに、「イランの人権問題を担当する国連のラフマン特別報告者の声明は、西側の提案者の政治的な動機により出されたものだ」としました。
バガーイーハーマーネ大使は、イラン人女性が2級市民として扱われているとするこの声明に関して、イラン人女性が学術・社会・管理経営のレベルで収めている成功の数々に触れ、「イラン人女性は2級市民などではなく、国の半分の人々を、その地位や肩書きに関係なく、二級市民扱いすることは容認できない」と強調しています。
西側の対イラン人権声明を検討する際には、考慮すべきいくつかの点が存在します。その第1の点は、他者の言いつけによるこうした報告は政治的な体質を帯び、利己的な目的が隠されていることです。
現実に、近年、アメリカ市民に対して行われてきた暴力行為や、欧米の諸都市で起こっている人種差別的な行為のわずかでも他国で発生した場合、数十もの非難決議や声明が発表され、さまざまな制裁が課されていただろう。しかし、西側での人権侵害の実現の調査に関しては人権報告者は任命されません。
この人権擁護を主張する人々は、他国での人権状況に関するこの種の声明や決議を出している一方で、自国での各種差別に抗議する人々は厳しく弾圧し、EU圏内での移民への抑圧やイスラム教徒への迫害、宗教的な価値観と神聖さへの侮辱行為を、法の施行と表現の自由としています。
女性の置かれた現実に関しても、2019年のフランス内務省の報告によると、同国での家庭内暴力の149人の犠牲者のうち、121人が女性となっています。さらにドイツ警察が出した統計によりますと、同国では家庭内暴力により、平均して3日に1人の割合で女性が死亡しています。さらにアメリカでは、昨年発生した黒人市民ジョージ・フロイドさん殺害事件が世界の人々の怒りを引き起こし、世界における西側の人種差別に対する抗議の象徴として、人々の記憶に刻まれています。
これらの人権主張者が、イランでの人権侵害に懸念を示す一方で、米国の制裁措置がイランの人々の生活と心身の健康に多くの脅威をもたらしています。現在、世界が新型コロナウイルス予防ワクチンの製造と分配の段階に達している中で、制裁はイランへの医薬品やワクチンの搬入に甚大な支障をきたしています。しかしこうした現状にはいずれの人物や機関、政府も、制裁の影響により自らの健康を失いつつある人々の権利には懸念を示していません。
イランの国際問題評論家、ミールガーセム・モウメニー氏は、欧米諸国では人権が政治目的達成のための圧力の手段に成り下がっているとし、次のように述べています。
「たとえば、サウジアラビアでは、社会での自由や人権は見られない。にもかかわらず、同国は欧米諸国の戦略的パートナーとなっている。しかし、その人権主張者が、欧米諸国の利益と相容れないことを理由に、イランに対して敵対的な態度を示している」
このような矛盾した対応は、これら国々は人権擁護において誠実さに欠けており、この概念を政治的に利用していることを物語っているのです。