視点;中国外相のイラン訪問
中・イ関係の戦略的レベルへの向上
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イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師と中国の習近平国家主席との会談(2016年1月)
国際体制における2大有力国であるイランと中国は、様々な分野で協力拡大に向けた共通の目的や利益を有しています。この関係を確固たる恒常的なものにしたのは、戦略的・包括的な協力への考慮です。
中国の王毅外相はこの枠組みで、ザリーフ・イラン外相の正式な招聘により、26日金曜テヘラン入りしました。
両国の外相は27日土曜、長期的協力に関して協議し、両国の包括的な協力計画文書に署名しています。
25年間の効力を有するこの文書は実際、中国とイランの2つの偉大なるアジア文明間の関係における新しい章といっても過言ではありません。また政治、安全保障、防衛、文化、農業、経済学、科学、観光、石油・エネルギー、電気通信インフラ及び通信技術、貿易、健康・福祉を含むさまざまな分野を網羅しているとともに、中国が提唱する一帯一路構想へのイランの参加に特に注目しています。
イランと中国の関係は、以下にあげる2つの重要性を帯びています。
第一の側面は、戦略的関係を発展させるための両国の努力です。イランと中国は、「政治経済」、「安全保障防衛」、「地政戦略」の3つの主要なレベルでの関係を拡大しており、25ヵ年戦略文書への署名はこのプロセスの完結に向けた重要なステップです。
両国間の関係の重要性の第二の側面は、地域的および国際的な外交の分野におけるイランと中国の相互間協力・交流です。
イランと中国はいずれも、ペルシャ湾とその湾口にあたるホルモズ海峡を含む地域の安定と安全の維持において、共通の利益を有しています。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、2016年1月に中国の習近平国家主席と会談した際、特に米をはじめとした一部の国の覇権主義的政策と、それらの国と他の諸国との不正な協力に言及し、「この状況により、独立国は互いにより多くの協力を求めるようになった。イランと中国による25ヵ年戦略的関係に関する合意は、この枠組みで行われたものであり、双方の真剣な追求によって運用段階に到達しなければならない」と語っています。
このレベルの関係は、実際には地域的交流・協力における相互信頼の表れです。経済的観点から見て、シルクロード構想、輸送、エネルギーにおける両国間の協力は戦略的レベルにあると言えます。2019年に発表された複数の統計によりますと、対イラン制裁が最も厳しかった時期に、イランと中国の間の貿易は240億ドルに達しました。この期間全体を通して、中国との関係は石油とエネルギーに限定されることなく、両国は地域的関係をこれまで以上に強化する能力・可能性を有しています。
イラン外務省のハティーブザーデ報道官が述べているように、イランと中国の関係は重層的で奥深く、さまざまな側面を有しており、この方向でイランと中国の協力に関する包括的文書は、完全なロードマップだと言えます。
イランは、カスピ海とペルシャ湾およびオマーン湾を互いにつなげる安定した輪のようなものであり、この特長は中国を含む外国人投資家にとって魅力的なカンフル剤として、イランの中・長期的な経済計画への彼らの参加意欲を掻き立てています。現在、地理的可能性と歴史的関係を考慮し、両国間の協力は、長期的な関係に照準を合わせています。イランと中国の間の協力拡大は、両国にのみならず、世界の平和と安全の発展にとっての利益にもなると思われます。
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