視点
茂木外相のイラン訪問、日本に対するイラン政府の期待
日本の茂木外相が22日日曜、テヘランを訪問し、イランの政府高官らと会談、協議を行う予定です。
茂木外相は今回の西アジア諸国歴訪で、イランの前にエジプト、ヨルダン、シオニスト政権の占領地イスラエル、パレスチナ、トルコ、イラクを訪問しており、イランの後にはカタールを訪問することになっています。
茂木外相はテヘランにて、ライースィー・新イラン大統領のほか、ザリーフ現外相、そして、ザリーフ外相の後任となる可能性のあるアミールアブドッラーヒヤーン前外務次官らと直接会談、協議する見込みです。
茂木外相は着任以来、6回にわたってザリーフ外相と対面あるいは電話での会談を行ってきました。さらに、その他の日本政府関係者も言葉を並べてイランとの友好関係を強調しているように、茂木外相はイラン訪問を前にイルナー通信向けの特別記事において、イランと日本の関係を古来から続く不変で友好的なものだとしています。茂木外相が今回の西アジア諸国歴訪先リストにイランを入れたことは、日本がライースィー新大統領の時代にも、これまでどおりイランとの関係から今後の利益を得られる機会を維持しておきたい意向であることを如実に物語っています。
イランはこれまで常に、対日関係において日本の善意を信用してきました。一部の西側諸国との関係が揺れ動いているにもかかわらず、イランはこれまで日本との全面的な関係拡大・向上に向けて努力してきています。イラン新政権が近隣諸国やアジア諸国との関係拡大を対外政策の主軸にすえていることことから、ライースィー新政権時代においてもこれまでどおり、対日関係はイランの対外関係において特別な位置づけを持つものと思われます。
テヘラン大学で教鞭を取るヤズダーン博士は、茂木外相のこの度のイラン訪問に関して、次のように語っています。
「イランのみならず、西アジア地域のすべての国は、アジアの中心的な役割を利用して、西アジアの緊張を緩和して平和と安定を強化するために、東アジアの中心的存在も利用することができる。日本のほかに韓国もある程度、評判のよいアジアの国であり、この地域では協力可能なレベルと前向きな影響力を持ってることから、イランを含む西アジアとの長期的な協力への道を開くことが可能である」
しかし、現実には近年、日本政府とイラン当局との様々な交流・やり取りにもかかわらず、日本が米国による一方的で圧政的な対イラン制裁を追従しているため、日・イ二国間貿易と経済関係は深刻な打撃を受けており、しかも日本政府は、両国関係を救うための実際的なイニシアチブをとっていません。日本の当局者はまた、同国に同盟する西側諸国が核合意離脱と西アジアでの緊張扇動に関与しているにもかかわらず、核合意で、さらにはペルシャ湾やオマーン湾で、行動を自制するようイランに促し続けています。
現在すでに、アメリカが20年間のアフガニスタン占領の後に無責任にも同国を撤退し、旧支配勢力・タリバンに掌握されたアフガンに、西側の同盟者としての傀儡政権を置き去りにしたことで、アメリカの同盟するほかの国に対しても、米国の信頼性の度合いについての事実が明らかになりました。この点で、アフガン情勢はおそらく茂木外相のテヘラン訪問での議題の1つになると見られます。新しいアフガンの状況では、これからの日本は、アフガンにおける外交、経済、貿易、さらには人道支援提供面での自らの存在を維持するべく、これまで以上にイランの仲介能力に依拠すると思われます。
いずれにせよ、イランは日本に対し、イランの外貨資産へのアクセスを遮断するという現在の制裁に従う政策の修正により、世界における自らの本当の位置づけに見合った、しかも国益に基づく独立した立場をとることを期待しています。イランは独立国であり、関係拡大において諸制裁の解除すら待つことはなく、日本のシェアは、同国よりも対イラン通商・経済関係に関心を持ち、より競争力のある日本のライバル国に徐々に置き換えられる可能性があるのです。
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