原発事故めぐる裁判、東電旧経営陣が2審でも無罪に
1月 18, 2023 20:32 Asia/Tokyo
2011年に発生した東京電力福島第一原発事故をめぐり、東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致傷の罪で強制起訴された裁判で、東京高裁は1審に続いて3人全員に無罪を言い渡した。
同原発事故をめぐり、巨大津波の襲来を予測できたのにも関わらず、必要な対策を怠り、その結果、避難を余儀なくされた福島県の病院の患者ら44人を死亡させるなどの罪で強制起訴されたのは、東京電力元会長の勝俣恒久被告(82)、元副社長の武黒一郎被告(76)、武藤栄被告(72)です。
東京地裁は2019年9月に行われた1審判決で、巨大津波が起こることは予知できなかったとして3人に無罪を言い渡しました。一方、2022年7月の民事裁判では、東京地裁は津波は予測でき、事故は防げたとして、3人を含む旧経営陣に約13兆円の賠償が命じられました。
今回の2審における審理のポイントは、日本政府の機関が2002年に発表した地震の「長期評価」の信頼性にありました。検察側は、この評価に信頼性があるのは明らかで、巨大津波が来ると予測できたはずであり、3人の被告には過失があると主張し、一方の旧経営陣は「科学的信頼性はない」として、無罪を主張していました。
東京高裁は今回の2審の判決で、1審に続いて3人全員に無罪を言い渡しました。
これに対して被害者やその支援者の側からは「不当で許せない判決」などと、落胆や怒りの声があがっています。