広島サミット閉幕、核容認に強い批判
G7広島サミットは21日、すべての日程を終え閉幕しました。岸田首相はこのサミットを、核廃絶の契機となったと成果を強調しますが、被爆者らからは批判の声が出ています。
カナダ在住の被爆者であるサーロー節子さん(91)は中国新聞のインタビューに、今回の広島サミットについて「失敗」と強く批判しました。
広島サミットでは、岸田首相が主導した「広島ビジョン」が出されました。しかし、その内容は、「核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たす」と記されたもので、米英仏の核保有とその核の傘にあるその他のG7各国の現状を容認する形となりました。
サーローさんは中国新聞の取材に、広島ビジョンについて「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と語りました。
また、G7首脳が原爆資料館を視察し、記帳したことについても、「文書の文言から首脳の鼓動も体温も感じない。あの場で何を見て、感じたのかを一切非公表とし、広島に来た意義はあったと言えるのか」と強く批判しました。
サーローさんは13歳のとき、広島の爆心地から1.8キロの地点で被爆しました。その後、半世紀以上にわたって世界各地で核兵器廃絶を訴え続け、2017年にICAN・核兵器廃絶国際キャンペーンがノーベル平和賞を受賞した際には授賞式でスピーチを行いました。
サーローさんは被爆時、4歳の甥を亡くしており、その甥は岸田首相の親戚である岸田英治さんです。
他にも、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳代表委員は21日午後のオンライン会見で、広島サミットにおける核廃絶論議について「結果として核抑止に依存しNPT体制を重視するというこれまでと変わらないもので、残念でならない」と述べました。
また同団体の木戸季市事務局長は、サミットにウクライナのゼレンスキー大統領が招待されたことについて、「一方の当事国だけを参加させることは、今の情勢を踏まえるとマイナスの影響のほうが大きいのではないか」と語りました。