広島原爆の日;被爆者や遺族からは「G7サミットは核廃絶への一歩になっていない」との声も(動画)
広島に原爆が投下されて78年となる6日日曜、被爆地・広島は犠牲者を追悼するとともに核兵器のない世界の実現を国内外に訴えます。
日本の報道各社によりますと、広島市の平和公園には同日夜明け前から被爆者や遺族が訪れ、祈りをささげていました。
広島では去る5月にG7サミットが開かれ、核保有国のアメリカ、フランス、イギリスをはじめとする各国の首脳が原爆慰霊碑に献花する様子は国内外に発信され、歴史的な出来事となりました。
しかし、被爆者からは「核兵器の廃絶に向けた具体的な動きにはつながらなかった」という声もあがっています。
広島市の被爆3世の男性は、「5月のG7広島サミットではアメリカが献花をしたことは歴史的な意義があると思いましたが、原爆を正当化する考えを根本的に払拭しないと真の平和は訪れないと思っています」と語りました。
また、松井一実 広島市長は平和宣言の中で「5月のG7広島サミットの核軍縮文書で肯定された核抑止論について破綻している」と指摘した上で「日本政府には今年11月の第2回核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加」するよう求めました。
また、8月9日に原爆が投下された長崎市では原爆投下時刻にあわせ、被爆者らが黙祷を捧げました。
長崎原爆被災者協議会の田中 重光会長は「今の日本政府は核抑止論に加担している。日本の責務は核兵器の被害の実相を広めていくことだ」とコメントしました。
去る5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)後、初めて迎える今回の原爆の日の式典には、各地の被爆者や遺族、岸田文雄首相のほか、過去最多の111か国の代表らが参列しました。
しかしその一方で、現状ではまだ核廃絶への具体的な道筋は示されず、また被爆地の評価は一様ではないのが現実です。核兵器が今なお世界を脅かす中、ヒロシマは鎮魂の祈りに包まれ、核廃絶に向けたメッセージを世界に発信することになります。