作家・僧侶の瀬戸内寂聴さん死去、99歳
恋愛や歴史、そして老いなどをテーマに数々の小説を発表し、法話を通じて多くの人たちに生き方を説いた作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが、心不全のため京都市内の病院で亡くなりました。99歳でした。
NHKが11日木曜、報じたところによりますと、瀬戸内寂聴さん(本名;瀬戸内晴美さん)は徳島市出身で、大学を卒業後、本格的に小説の執筆をはじめ1957年に「女子大生・曲愛玲」で文芸雑誌の賞を受賞して文壇デビューしました。
1963年にはみずからの波乱万丈な恋愛経験をつづった私小説「夏の終り」で女流文学賞を受賞するなど、恋愛小説や伝記小説を次々と発表し、経済的にも精神的にも自立する新たな女性の生き方を生き生きと描いて多くの女性の読者から支持を受けました。
1973年、51歳のときに作家として新しい生き方を模索したいと岩手県の中尊寺で得度し「寂聴」を名乗り、1992年には西行の生涯を描いた「花に問え」で谷崎潤一郎賞を受賞し、「源氏物語」の現代語訳は、当時、ブームの火付け役となり、光源氏を取り巻く女性に焦点を当てた新しい視点と読みやすい表現で高い評価を受けました。
また1997年には文化功労者に選ばれ、2006年には文化勲章を受章しています。
瀬戸内さんは作家としての執筆活動の一方、僧侶としても30年以上にわたって各地で法話を続け、多くの人々の悩みや苦しみに耳を傾け、みずからの思いをことばにして伝えてきました。
2011年の東日本大震災後は、東北の被災地を回って多くの被災者を励まし、2015年には安全保障関連法に反対する国会前のデモに京都から駆けつけてマイクを握るなど、社会的な活動にも積極的に参加していました。
2017年には、小説家としての自身の生涯と闘病の体験を題材にした長編小説『いのち』を95歳で刊行しましたが、先月から体調を崩して病院に入院していたということです。
なお葬儀は近親者で執り行われ、後日、都内でお別れの会を開く予定だということです。
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