沖縄社会に迫るコロナ新変異株;米兵入国後の「規制の穴」
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駐沖縄アメリカ軍基地「キャンプハンセン」で働く、日本人従業員のオミクロン株への感染が確認された沖縄県では、新たに2人のオミクロン株への感染が確認され、沖縄社会への「変異株侵入」が現実味を増しています。
(last modified 2025-06-25T12:06:53+00:00 )
12月 20, 2021 15:36 Asia/Tokyo
  • 駐沖縄アメリカ軍基地「キャンプハンセン」
    駐沖縄アメリカ軍基地「キャンプハンセン」

駐沖縄アメリカ軍基地「キャンプハンセン」で働く、日本人従業員のオミクロン株への感染が確認された沖縄県では、新たに2人のオミクロン株への感染が確認され、沖縄社会への「変異株侵入」が現実味を増しています。

沖縄の地元紙・沖縄タイムスによりますと、大規模なクラスター(感染者集団)が発生している米軍キャンプ・ハンセン(金武町)では、今月17日に日本人従業員のオミクロン株への感染が確認された沖縄県では、新たに2人のオミクロン株への感染が確認されました。

同基地では17日までに99人の集団感染が確認されていますが、今月18日には新たに59人の感染が判明し、12月15日からの4日間で158人の感染が確認されるという重大な事態となっています。

日本の報道各社によりますと、松野博一官房長官は20日月曜午前の記者会見で、同キャンプでのクラスターについて、米軍から政府への通知により同日朝の時点で少なくとも180人の感染が確認されていることを明らかにしました。

こうした事態に加えて、入国後は隔離されているとみられていた隊員らが、ワクチン接種完了を条件に基地内の移動などが認められ、またマスク着用が義務付けられていなかったという「規制の穴」も判明し、感染者が日本人従業員らと接触していた可能性も指摘されています。

しかし米軍はゲノム検査に後ろ向きな姿勢を示し、検体の提供にも応じていません。米軍基地内の感染を巡っては、昨年も必要な情報が県側に伝えられずに問題になったばかりで、県民の命や健康に関わる保健衛生の分野でも、基地のフェンスが高く立ちふさがった形となっています。

沖縄県によりますと、隊員は入国後、一定期間は基地外への外出の原則禁止などの行動制限を受けますが、ワクチン接種が完了している場合は規制が緩く、基地内であれば移動や施設利用が認められ、しかも行動制限期間も10日間と極めて短くなっています。

この問題について、糸数公医療技監は「ワクチン接種が進み、行動制限の緩和につながったのかもしれない。変異株を基地の外に出してしまう可能性があり、規制を強化するように要請する必要がある」との認識を示しました。

基地内で確認された感染者がこれまで最もかったのは昨年11月30日の72人で、今回をこれを大幅に上回ったほか、基地外に居住する3人からはオミクロン株が検出されており、「市中感染が広がっているのでは」との疑問の声が上がっています。

沖縄県の方針では、オミクロン株の感染者は、個室に入院させて他の患者から隔離し、退院時にはPCR検査で陰性を2回確認することになっているほか、濃厚接触者も自宅待機ではなく、管理が行き届きやすいホテルで療養させることになっています。

沖縄県立中部病院の高山義浩医師(感染症内科)は、「基地内でこれだけ多くの感染者が出てしまうと、沖縄社会への侵入ルートを同定することが難しくなる。12月初旬には流行が始まっていたが、米軍は気付くのが遅れたのではないか」とし、「部隊の入れ替わりで人の移動が増えると、感染拡大のリスクは高まる。米軍は今年1月ごろからワクチン接種を始めており、効果もかなり減弱していたはずだ。さらに接種済みであれば入国後すぐに基地内は自由に行動することができ、感染拡大の要因になった可能性がある。接種を終えていない人も自宅待機のため管理の目が届きにくかったと思われる」として、軍内での規制の穴や対策の弱点を指摘しています。

その上で、「感染力を増しているオミクロン株について、在沖米軍と沖縄県側とでは危機意識に差があったのかもしれない。しかし、同じ地域に住む以上、沖縄県が渡航者や住民に求めているルールを守ってもらいたい」として強く要求しています。

 

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