ロシアが北方領土周辺の漁業協定を停止、「日本側が義務果たすまで」
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北方領土周辺の漁業
ロシア外務省が、北方領土周辺海域での日本漁船による操業を定めた日ロ間の漁業協定の履行を停止すると発表しました。
朝日新聞など、日本の報道各社によりますと、ロシア外務省のザハロワ報道官は7日火曜、声明を発表し、北方領土周辺で操業している日本漁船を拿捕しない、いわゆる「安全操業」をめぐって日ロが1998年に締結した協定の実行を中断すると発表しました。
この理由について、ロシア側は日本側が協定に基づく支払いを凍結し、必要な文書への署名を遅らせているからだと主張しています。
また、日本政府が、履行に不可欠なサハリン州への技術支援に関する書類への署名を引き延ばし、「協定に基づく支払いを『凍結』した」と批判し、日本側が義務を果たすまで、履行を停止せざるを得ないとしています。
この協定は1998年に調印されたもので、ロシア外務省は、協定は「日ロの漁業分野で重要なものの一つ」とし、日本の漁業者はロシア側からの割り当ての範囲内で操業できたとしています。
日ロ間には複数の漁業協定があり、今回ロシア政府が停止を発表したのはその一部です。
今年のスケトウダラやホッケ、タコの漁獲枠などの操業条件は昨年末に両政府間で合意しましたが、現在は漁期から外れており、日本漁船は操業していません。
この合意では今後の漁期が9月16日のホッケ漁から始まることになっているため、今回の協定停止による影響は限定的とみられています。
これについて松野官房長官は8日水曜の記者会見で「一方的に協定の履行停止を発表したことは遺憾だ。日本側としては引き続き協定の下での操業が行われるよう、ロシア側と協議を行っていく」とし、「第一に漁業関係者の操業の安全を確保するために全力を尽くす」と強調しました。