「宗教は理性の強化に必要なもの」 イラン最高指導者の解説
人類はその歴史上、常に自らの必要を満たすべく努力してきました。それは、人間が生まれつき何かを必要とする生き物だからです。しかし、それには必要なものを見誤ったり、必要に対して間違った回答を選んだりする危険性も付きまといます。
人間がこうした危険を回避するために預言者がもたらしてくれたものは、神から直接授けられた知恵です。聖典コーランは、預言者ムハンマドを通じて神から人間に贈られた水先案内人なのです。
人間は、このコーランという偉大な書物に依拠せずして、この世において平穏や確信、満足を得ることはできません。
コーランは、この21世紀に物質的には大きく進歩した人間が、いまだに知り得ない真実を教えてくれます。そして、それらの真実を知り、それにもとづいて行動することは、人間に内面の力を与えてくれます。
したがって、この神の書にあずかる者だけが無明から抜け出すことができるのです。コーランの教えにあずかるには、ひとえにこの書物に親しむことが必要になります。ここでは、イラン・イスラム革命最高指導者ハーメネイー師によるコーラン解説を見ていきます。
ハーメネイー師の解説:
種は暗い土の中に埋まっている。その種から芽が出て、明るい外の世界へ出てくることを可能にするのは、降り注ぐ雨の一滴一滴だ。
私たち人間も、暗闇の土の中に埋まる種である。そして雨水にあたるのが、コーランの言葉のひとつひとつである。それは、無知や背信、圧政、腐敗といった暗闇から、知、信仰、正しさといった光の世界へ我々を引っ張り出してくれる。
なぜ預言者が必要なのか? なぜ特定の人物が神から遣わされ、他の人々を導かなければならないのか? 人々は自力でできないのだろうか? 人間の持つ知恵や能力は十分ではないのだろうか?
答えは、人間の感覚や知恵では、不十分だということだ。人間には感覚以上の、理性を導くものが必要である。それは眠っている人間の理性を呼び覚まし、高めてくれるものである。
つまり、宗教とは人間の理性を導くために必要となるものなのだ。人間には常に本能的な感情や欲求が付きまとい、理性がはたらくのを妨げる。宗教は、そうした障害を取り除き、人間の理性を高めてくれるものなのだ。