信心深い者はどうあるべきか;イマーム・レザーの言葉より
シーア派8代目イマーム・レザーは、アッバース朝第7代カリフのマアムーンへ宛てた手紙の中で、「神の友人たちと友情を結ぶことは責務である。また、神の友人たちの敵やその指導者らを嫌い、敵意を持つことも責務である」としました。
シーア派7代目イマーム・カーゼムの息子で8代目のイマームとなったアリー・イブン・ムーサー・レザー(西暦766年〜818年)は、イスラム教の預言者ムハンマドの子孫の一人です。
イマーム・レザーは20年にわたりイマームの地位にありましたが、これはアッバース朝のハールーン、アミーン、マアムーンの3代のカリフの統治時代と重なります。彼は815年、マアムーンの主張によって強制的に、それまで住んでいたメディナ(現在はサウジアラビアの一部)から、マアムーンのいたイラン・ホラーサーン地方のメルヴに呼び寄せられました。マアムーンはイマーム・レザーを無理やりカリフ位後継者にしましたが、最終的に818年、彼に毒を与えて殉教させました。イマーム・レザーはマシュハドに埋葬され、その後イマーム・レザー廟があることで知られるようになったこの地は現在、世界中のシーア派教徒にとって重要な巡礼地となっています。
ここでは、イスラム教徒の信心深さや信仰がどうあるべきかの一部を、イマーム・レザーの言行録から抜粋してご紹介します。
1- 信仰を真に完成させるには
「いかなる神の僕も、3つを備えない限りは、信仰が真に完成することはない。その3つとは、宗教を知ること、人生で計画をたてること、苦境や困難に辛抱強くあることだ」
2- 信仰の3つの要素
「信仰とは、心で知り、口で告白し、五体で行動することだ」
3- 喜び・怒りの時に取るべき行動
「信心深い者とは、怒りを感じた時でも常にその感情で真実から外れることはなく、喜びを感じた時でも常にその喜びで役立たずにはならず、また、権力を手にした時でも常に定められた以上の権利を取ろうとしない者だ」
4- 神の友人たちへの友情およびその敵への敵意
「神の友人たちと友情を結ぶことは責務である。また、神の友人たちの敵やその指導者らを嫌い、敵意を持つことも責務である」
5- 最良の神の僕とは
イマーム・レザーは、最良の神の僕について尋ねられた際、こう言われました:「それは、良いことをした時には常に幸せな気持ちを抱ける人々、悪いことをした時には常に許しを請える人々、何かを与えられた時には常に感謝を口にできる人々、困難にある時でも常に忍耐強くあれる人々、怒った時でも常に許して過去のことにできる人々のことだ」
6- 人々への感謝は神への感謝
「人々の親切や寛容さに感謝しない者は、至高なる神に感謝していないのと同じことだ」
7- 現世利益を適切に扱う重要性
「自分自身が現世利益を享受できるよう、心の中に抱く望みは、寛容さを損なわず浪費にならない程度に、イスラム法が許す範囲内で叶えるようにしなさい。そうすれば、宗教に関する事柄に助けが得られるだろう」
8- 父親に謙虚に接する
「父親の言うことに従い、父親に善を行い、父親をあがめて敬意を持ちながら謙虚に接し、父親が傍にいる時は静かに話すようにしなさい」