視点;エマーディー解説員
ヒズボッラー事務局長演説の重要な点
レバノンのシーア派組織・ヒズボッラーのナスロッラー事務局長は3日の演説で、「(先月7日にハマスが実行した)アクサーの嵐作戦は完全にパレスチナ人によるもので、彼らとその理念のためのものである」と語りました。
パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスによるアクサーの嵐作戦と、それに対するシオニスト政権イスラエルによるガザ地区への戦争犯罪が始まってから4週間が経ちました。これにより、これまでにパレスチナ人およそ9300人が殉教、2万4000人が負傷しました。ナスロッラー師はこの日の演説で、アクサーの嵐作戦およびイスラエルによる戦争犯罪、そして西側諸国の振る舞いについて語りました。
ナスロッラー師が強調した第1の点は、今回のアクサーの嵐作戦が完全にパレスチナ人だけで実行されたものであり、周辺諸国の抵抗の枢軸はこれについて何も関知していなかったということです。ナスロッラー師はこれについて、「作戦の決定も実行も100%パレスチナ人によるものだった。立案者は作戦の内容を誰にも、ガザにいる抵抗組織にすらも明かしていなかった。こうした完全秘密主義が電撃作戦の成功につながった」と述べました。
第2の点は、75年におよぶイスラエルによるパレスチナへの犯罪が、今回のアクサーの嵐作戦の原因だということです。パレスチナ人にとって占領による痛みや苦しみは日常のものとなっていましたが、シオニスト政権による暴力が激化したことでガザの状況はますます厳しくなっていました。一方では、国際社会や地域諸国の消極姿勢も、パレスチナ人が支援を期待できない要因となり、自ら作戦を実行する決断に至らせたのです。
第3の点は、イランと抵抗勢力の関係について抵抗勢力はイランに知らせることなく作戦を行うことはないとする一部の主張とは裏腹に、アクサーの嵐作戦はハマスが実行したものであり、イランはこれについて知らされてはいませんでした。ナスロッラー師はこれについて、「この作戦は、イランがパレスチナ各抵抗勢力に何の支援・指導もしておらず、意思決定はすべてパレスチナ抵抗組織の指導者自身であることを示した」と語りました。
第4の点は、イスラエルは欧米の支援を得ることで、アクサーの嵐作戦で喫した敗北を和らげようとしていますが、実際にはこの作戦でイスラエルの脆弱性が露呈し、それは蜘蛛の巣よりももろいものであることが示されたということです。アメリカはバイデン大統領をはじめ、各閣僚や軍関係者がイスラエル支援に急ぎました。それは、恐れおののくイスラエルを抱きかかえ、気を確かにさせようとしているかのようでした。しかし、イスラエルは現時点でも率先して動くことができておらず、アメリカなどによる支援はかえってイスラエルの脆弱性を示すこととなったのです。
第5の点は、アラブ諸国からの批判です。シオニスト政権は現在、パレスチナに対する大量虐殺・民族浄化を行っており、その犠牲者の大半が女性や子供です。ナスロッラー師は「(イスラエルの攻撃には)何の自制もなく、あらゆる場所を破壊し尽くしている」と指摘しました。こうした状況にもかかわらず、アラブ諸国はガザ市民への支援のため本格的な行動を起こしておらず、イスラエルによる攻撃を言葉で非難しているだけです。ナスロッラー師はこうしたアラブ諸国の消極姿勢について、「あなた方はガザへの攻撃を止めるために努力せねばならない。非難するだけでは十分ではない。(シオニスト政権との)関係を断ち切り、自国の大使を召還すべきだ。イスラエルへの輸出を止めるべきだ。(ガザとエジプトの境界にある)ラファ検問所を開放するほんのわずかの気力すらないのか?」と訴えました。
そして最後の点は、レバノンの抵抗勢力はアクサーの嵐作戦が始まってから今日までの4週間、イスラエルと戦うパレスチナ抵抗勢力を支援してきたということです。そしてこれは今後も続くとみられます。イスラエルとレバノンの間で衝突が起きたことで、イスラエルはそちらにも注力せざるを得ず、結果としてパレスチナへの支援となったのです。