視点;エマーディー解説員
イラク抵抗勢力によるヨルダン内米軍基地への攻撃理由
イラク抵抗勢力がヨルダン北東部のシリアとの国境付近にある米軍陣地を無人機で攻撃し、これにより米兵3人が死亡したほか、少なくとも25人が負傷しました。
西アジアなどを管轄するCENTCOM米中央軍は、今月28日に声明を発表し、「ヨルダン北東部にある米軍基地が無人機攻撃を受け、これにより米兵3人が死亡し、少なくとも25人が負傷した」としました。一方、イラクの抵抗組織も同日の声明で、シリアにある複数の米軍基地及び、シオニスト政権イスラエルが占領下するパレスチナ領土内の軍事基地1か所を攻撃したと発表しています。
イラクやシリアにある米軍基地が攻撃されたのは、これが初めてではありません。パレスチナ・ガザでの戦争勃発を受け、各抵抗勢力は地域内の米軍基地を標的に攻撃してきました。実際、これまでにイラクとシリアでは米軍とその同盟国の軍隊が158回以上攻撃されています。アメリカ国防総省によりますと、29日より前のこれらの攻撃では死者こそ出ていなかったものの、アメリカ兵約70人が負傷していました。
イラクから米軍基地を攻撃する勢力は、米軍のイラク駐留に反対するとともに、イラクからの完全な米軍追放を要求しています。これらの勢力は、米軍のイラク駐留が国家主権の侵害であり、それと同時に、イラクの利益と安全にはつながらないと考えているのです。そのため、イラク領内の米軍基地は近年、何度もイラク抵抗組織から攻撃されており、米国も、その報復としてイラクの抵抗組織の拠点を繰り返し攻撃して、数十人を殉教に至らせています。
イスラエル政権が今回のガザ戦争を開始した2023年10月7日からのこの数か月間で、このような攻撃は激化しています。イラクの抵抗組織はこれまでに何度も、イスラエル政権がアメリカの全面的な支援を受けてガザ攻撃を実行していると指摘しています。そして実際、対ガザ戦争の方針を担い、ガザにおけるイスラエル政権の大量虐殺の共謀者であるのは、アメリカに他なりません。
イラクの抵抗組織は、ガザ地区でのイスラエル政権による攻撃の主な責任は米国にあると考えており、「イスラエル政権のガザ攻撃が続く限り、地域内の米軍基地を攻撃する」と強調しています。この点に関して、ここ数年で最も激しい攻撃となった今月28日の米軍基地への攻撃の後、イラクのイスラム抵抗組織の一つ、サイイド・アル・シュハダー旅団(Kata'ib Sayyid al-Shuhada' )のアブー・アル・アラー・アル・ワラーイー(Abu al-Ala' al-Wala'i)書記長は、「アメリカはこれら3人の兵士の死に心を痛めているが、ガザでの10万人近いパレスチナ人の殉教や負傷には心を痛めてはいない」と語りました。
また、アメリカの新聞ワシントン・ポストもイラク抵抗組織のある上級幹部の話として、「これまでにも述べているように、アメリカの対イスラエル政権支援が続けば、紛争は激化するだろう。地域にあるすべての米軍基地は我々にとって合法的な攻撃対象である。我々の作戦への報復という米国の脅迫など眼中にない」と報じました。
したがって、イラクとシリアに駐留する米軍を対象とした攻撃が激化する現在の状況を招いているのは、アメリカがガザ地区に対するイスラエルの犯罪において果たしている積極的な役割だと言えるのです。