本日のトピック:ロシアとアメリカのシリア停戦合意
ロシアのラブロフ外務大臣と、アメリカのケリー国務長官が、スイス・ジュネーブで会談を行い、10日土曜未明、シリアの平和の回復に向けて合意を締結したとしました。
ミールターヘル解説員
ケリー国務長官は、12日月曜夜から、イスラム教徒の犠牲祭にあわせて、シリア全土で停戦が発効するとしました。ケリー長官はまた、テロ組織ISISと、以前はヌスラ戦線として知られていたシリア征服戦線の拠点を攻撃するため、ロシアとの合同対策本部を設置するとしました。さらに、シリア政府が停戦を守ることに対して、ロシア政府が保証するよう期待感をあらわしました。
一方、ラブロフ外務大臣は、アメリカとロシアの協力における不信感と、シリアをめぐる両国の話し合いは続いており、新たな合意の実施に関して、保証することができないと強調しました。ラブロフ外相はまた、ロシアは新たな合意の詳細をシリア政府に通達しており、シリア政府は停戦の準備ができているとしました。
シリアの停戦合意は、アメリカ国務長官とロシア外相が一定期間にわたり話し合いを行った後、締結されました。一方、ラブロフ外相の表明は、ロシアが停戦の確立や緊張の緩和に向けたアメリカの誠意を疑っているということを示しています。このことは、特にアメリカの支援を受けたテロ組織が停戦を悪用して、北部アレッポの一部の地域を占領したという、以前の停戦の経験に依拠しています。
実際、中道派と呼ばれるテロ組織の主だった支持者である西側やその同盟国は、明らかな計画の中で、アレッポでシリア軍とその同盟勢力に打撃を与えるために、停戦を悪用し、その役割を推進しました。このため、ロシアは、アメリカとの新たな協議の中で、停戦合意が締結されたにもかかわらず、はっきりとアメリカに対する不信感を表明しました。
一方、ロシアは、シリア危機の平和的解決を妨害したと非難されないよう、シリア軍を支援する軍事措置を継続するとともに、シリア政府の反対派の指導的立場にあるアメリカとの話し合いを続けています。停戦合意の締結も、この方向性で行われたものです。同時に、シリア軍とその同盟勢力は、現在アレッポを完全に封鎖し、テロ組織が停戦を悪用するのを許すことはないでしょう。こうした中、サウジアラビアやトルコといった国は、これらのグループに対する武器支援や物資移送を急いでおり、対空ミサイルシステムなどの兵器をこれらの組織に提供しています。
その他、ロシアとアメリカは、反対派の分類に関しても対立を抱えています。ロシアは繰り返し、ISISに加えて、ほかの反対派の拠点を攻撃してきました。しかし、西側は、シリアの中道派の反体制も攻撃しているとして、ロシアを非難しました。このため、ロシアは、アメリカの同盟者を含む全ての反体制派を攻撃対象としていると強調しました。一方、西側はISISへの攻撃に集中するよう強調しています。これは、シリアにおけるロシアと西側の軍事介入の目的が対立しているためです。ロシアはシリアの合法的なアサド政権を守ろうとしていますが、アメリカははっきりと、シリアのアサド政権を転覆することが目的だとしています。