仏歴史学者、「米は世界での経済的優位を失う危機に」
フランスの歴史学者が、アメリカはウクライナ紛争に関わったことで世界に対する経済的優位性を失うことになると予測しました。
ロシアとウクライナの戦争が始まった2022年2月24日以降、アメリカとヨーロッパ諸国はこれまでに、数十億ドル相当の軍事・非軍事援助をウクライナに送ったり、送る約束を交わしています。
これに対しロシアは、西側諸国からウクライナ紛争地域への継続的武器流入を繰り返し非難し、紛争の継続や激化を招くことになると警告しています。
フランスの歴史・人類学者であるエマニュエル・トッド氏は13日金曜、同国の新聞ル・フィガロとのインタビューにおいて、「米国は、歴史的視点から見れば長期的衰退期のひとつに入っている。同国は、世界への影響力低下に抗って第二次世界大戦後の黄金時代に戻るため、失われたこの影響力を再び取り戻そうと努力している」と述べました。
続けて、「同国はやむなく、自身が事実上大規模に行動し戦場に赴くことなく、他の者たちの戦争に関与するという経験を繰り返していくと決めた」としました。
そして、「ウクライナ紛争は米国にとって、欧州同盟諸国の経済が枯渇した場合に世界経済の支配力を失いかねない、危険と隣り合わせの重要な問題であるが、同国は紛争に介入せざるを得なくなっている」と指摘しました。
その上で、「ロシア経済が制裁に対して長期的な抵抗力を示し、ヨーロッパ経済を麻痺させつつ、中国の支援で耐え忍ぶことができれば、米国が世界におよぼしている経済的支配は消え去る。それにともなって、米国が巨額の貿易資金準備の能力も失い大幅な貿易赤字に直面すれば、そこから抜け出す道はほぼ見つからない」と説明しました。