視点;アトゥサー・ディーンヤーリヤーン
ニジェールのクーデターに対する外国の介入
ニジェールでクーデターが起きてから1週間。同国の政治的危機は拡大しています。
ニジェールでは先月26日、大統領警護隊のチアニ司令官がクーデターを起こし、バズム大統領を監禁、自身を国家元首として宣言しました。
今回のクーデターは、ニジェール国内外で異なった反応を呼んでいます。ニジェール国内では、数百人のクーデター支持派が、首都ニアメーにあるフランス大使館前で抗議活動を行いました。彼らはバズム大統領を、西側とくにフランスの同盟者とみなしており、同大統領の退任を支持し、西側諸国の内政不干渉を求めました。また、抗議に際してはロシア国旗が掲げられ、反フランスのスローガンが叫ばれました。
ニジェールは、ウランやダイヤモンド、金、石炭といった天然・鉱物資源に恵まれ、西アフリカ地域でも重要な国のひとつです。
同国の鉱物資源は西側諸国にとって常に重要であり続けてきました。その一例がフランスの原子力産業であり、ニジェールからのウラン輸入に大きく依存しています。
ニジェールのクーデターは、フランスがアフリカに持つ権益に大きな影響を及ぼすとみられます。ニジェールの隣国であるマリやブルキナファソでも、地域におけるフランスの存在に反発する声が出ているからです。
フランスのジャーナリストでアフリカ専門家でもあるアントワーヌ・グラセール氏は、西側やフランスにとって多くのものが危機に瀕していると語っています。
ニジェールは近年、テロとの戦いを理由とした西側諸国の介入の場となってきました。ニジェール国内に軍事基地を設置してテロとの戦いを名目に駐留し、ロシアの影響力を排除しようとしてきたのです。こうしたことから、アメリカはクーデターを即座に非難し、バズム大統領の解放を求めたのです。
西側諸国は、ニジェールにおける自らの地位と権益を失うことだけでなく、ロシアのアフリカに対する影響力が拡大することを恐れています。
こうしたことから、西側諸国に協調する一部のアフリカ諸国は、ニジェールに対し、経済制裁を行使し、場合によっては軍事行動も辞さないと脅迫しているのです。これに対しニジェールのクーデター政権は、いかなる侵略的行為にも対抗措置をとると表明しています。
いずれにせよ、クーデター後のニジェールの動向は、地域のもろい政治・経済情勢に不安な影を落とし、地域外勢力の競争に拍車をかけています。そうした競争は、ニジェールのようなアフリカの貧困国に対し、破壊的な影響をもたらしうるものです。