イランのミサイル計画を口実にしたイラン恐怖症の拡大
ドイツ首相と国連事務総長が、それぞれ、核合意とイランのミサイル活動に関して、様々な主張を行いました。
マッキー解説員
国連のパン事務総長は、国連に提出した報告の中で、イランのミサイル計画について触れました。この報告では、「イランの弾道ミサイルの発射は、イランと6カ国の核合意の精神に反するものだ」と主張されています。この報告が発表された後、ドイツのメルケル首相も、イランのミサイル実験は違法だとしました。メルケル首相は、「イランによるミサイル計画は、国連安保理の規定に反する」と主張しました。また、「NATO北大西洋条約機構のミサイル防衛システムは、イランのミサイル計画に対抗するものであり、防衛的な側面を持つ」と語りました。
このような根拠のない発言に対し、イラン外務省の報道官が反発した後、サーレヒー原子力庁長官が、これらの発言に回答しました。サーレヒー長官は、メルケル首相とパン事務総長の主張が同時に出されたことは、イランに対する新たな陰謀が形成されつつあることを物語っているとしました。イラン外務省のガーセミー報道官は、これまで繰り返し、「イランのミサイル計画は、完全に防衛のためのものであり、核弾頭を搭載するために設計されているわけではない。そのため、国連安保理決議に違反しておらず、核合意とも関係がない」と語っています。
イランのミサイル活動は、イランと6カ国の核合意とは別の問題です。安保理決議2231では、イランに対して、核弾頭が搭載可能なミサイルに関連する活動を行わないことが求められています。イランが開発しているミサイルは、いずれも核弾頭を搭載するためのものではありません。その理由は2つあります。ひとつは、イランの核政策は平和利用を目的にしたもので、大量破壊兵器の生産、使用、保管を全て否定しています。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、核兵器の生産を禁じられたものと発表しており、イランが核弾頭搭載可能なミサイルを生産することはありません。第二に、イランのミサイル技術の特徴は明らかです。イランのミサイルは、核弾頭の搭載には適しておらず、西側の一部の首脳による発言は、単なる口実探しに過ぎません。このような発言の目的は、イランの防衛力を制限することにあります。しかし、イランはこれまで何度も、防衛問題については、譲歩したり、協議したりすることはないと強調してきました。
安保理決議2231が採択された後、イラン外務省は声明の中で、「イランの防衛力に、協議や譲歩の余地はない」と発表しました。アメリカとヨーロッパの、核合意に反対する人々は、あらゆる口実を設け、地域や世界に新たなイラン恐怖症の波を作り出そうとしています。彼らは、イランの平和的核計画に関する偽りの主張によって、イランを孤立させるという目的を果たせなかった後、2年間に及ぶ真剣な協議の末に、イランとの間で合意を締結しました。イランはこの合意の中で、一定期間、平和的な核活動における制限を受け入れることに同意し、それに対して西側諸国も、イランに対する圧制的な制裁のすべてを解除することになりました。そのことは、安保理決議2231に盛り込まれています。しかし、アメリカをはじめとする西側政府は、口実によってその取り決めを破ろうとしています。このことから、彼らは、情勢不安が続く中東地域で【防衛】能力を強化しようとするイランの努力を標的にし、新たなイラン恐怖症の波を起こしているのです。
“ヨーロッパにおけるNATOのミサイル防衛システムの配備は、イランのミサイルに対抗するものだ”としたメルケル首相の根拠のない発言も、そのような目的によるものです。メルケル首相とパン事務総長は、今回の発言により、誠実さに欠けていること、彼らの約束は信用できないことを示しました。