イスラエルへの化学兵器供与を疑われるドイツ
36年前の1988年3月16日、当時のイラクのフセイン大統領の指示で北部のクルド人居住地域・ハラブチェが化学兵器で攻撃されました。この攻撃では、ドイツなどの西側諸国が提供したマスタードガスやサリン、タブン、VXガスなどが使用されたことが後の報告で判明しています。
ドイツによる大量破壊兵器の製造は広範な規模にわたり、そのことはドイツがシオニスト政権イスラエルにも兵器を提供しているという見立てにもつながっています。特に、昨年10月のガザ戦争勃発以降、ドイツからイスラエルへの武器供与は増加しており、ドイツ政府の優先課題にもなっています。
ドイツ政府は昨年12月、イスラエルへの3億300万ユーロ(3億2300万ドル)相当の武器輸出を承認しました。前年2022年のドイツの武器輸出全体額が3200万ユーロであったことを考えれば、10倍以上にあたる異様な規模です。
SIPRI・ストックホルム国際平和研究所の報告によると、ドイツは近年、イスラエルに1000基以上の戦車用エンジンを輸出しています。
イスラエルが最近、レバノン南部で禁止兵器である白リン弾を使用していることは、ドイツが依然として兵器を提供しているという疑いに拍車をかけています。
イスラエルによる化学兵器使用への懸念が高まる中、非同盟運動は第38回化学兵器禁止条約締約国会議でイスラエルによるガザ攻撃に言及し、パレスチナから出されたイスラエルによる化学兵器使用に関する調査要望を支持しました。
非同盟運動は報告の中で、ガザやレバノン南部でイスラエル軍が白リン弾のような禁止兵器を使用した可能性について「深く憂慮する」とし、ガザやヨルダン川西岸でその他の化学兵器を使用する可能性について警告しました。
1980~1988年のイラン・イラク戦争では、フセイン大統領率いるイラクにより合わせて582回の化学兵器による攻撃がイランに対して行われました。これにより、1万人以上が殉教、10万人以上が負傷し、後遺症などを負いました。
特にイラン西部サルダシュトへの攻撃は、フセイン政権と西側諸国のバックアップにより行われたもので、西側メディアはそろってこの人道的悲劇に沈黙しました。また西側各国政府も、これといった措置をとらずに無視を決め込み、時にはこの事実を否定すらしました。
報告によれば、当時のイラクにより使用された化学兵器の製造メーカーは400社以上にのぼり、その大半がドイツ企業だったということです。そのドイツが現在はイスラエル相手に兵器を提供し、ガザの人々の虐殺に加担しているのです。