CNN記者の手法に見る嘘のイラン報道
CNNのフリーダ・ギッツ記者は最近の記事の中で、イランのライースィー大統領の事故死について、イラン恐怖症を増幅させるべく嘘の内容を書き連ねています。
米メディアがイラン恐怖症を煽るのは、賢明な受け手であれば自明のことです。イランは、アメリカやイスラエルの覇権主義・好戦主義にとって最も難しい敵です。
ギッツ記者は今回、イラン政府が社会を無慈悲にコントロールし、ライースィー大統領がヘリ事故で死亡した後、国民から罵倒されたと記事の中で書き連ねました。
1979年のイスラム革命により、それまでの親米のパフラヴィー王政が倒れた後、アメリカは世界でも類を見ない制裁をイランに課してきました。
1980年から8年続いたイラン・イラク戦争は、アメリカが当時のイラクのサッダーム政権をそそのかして始まったものでした。イランはこの戦争を耐え抜きましたが、国民の支持なくしてそのようなことが可能でしょうか?
また、2020年に米軍により暗殺されたソレイマーニー革命防衛隊司令官や今回のライースィー大統領の葬儀に大勢の市民が参列したことも例のひとつです。
同様に、最高指導者ハーメネイー師が地方を訪問すると、どれだけの人々が大挙して歓迎するかを見てもいいでしょう。
ギッツ記者が用いた手法は、嘘を繰り返すことで読者に信じ込ませるというものです。
ギッツ氏は、自分の記事の読者が実際にインターネットで事実を検索するであろうことも想定していません。ライースィー大統領の死去後、SNSにはイラン人ユーザーから「共和国の殉教者」「イマーム・レザーの奉仕者」といったライースィー氏を称えるハッシュタグが相次いで投稿されました。
ギッツ氏はさらに、ライースィー氏の死去をうけてイラン体制内で激しい権力闘争が始まり、それが内戦に発展する可能性すらあると記しています。これは、1979年の革命以来、アメリカがイランに対して抱いてきた国家分裂の希望を反映したものといえます。そして、その希望は今日に至るまで一度も実現したことはありません。
その原因は、アメリカがイランのイスラム社会に対する理解を欠いていることです。イラン社会はその長い歴史において、意見の相違を抱えながらも常に国民として団結してきました。
ギッツ氏は、イスラエルによるプロパガンダと同じように、ライースィー氏が革命から間もない頃、反体制派の大量処刑を命じたとする嘘を展開しています。
彼女の嘘には3つあります。1つ目は、イラン市民およそ1万7000人を殺害したテロ組織メンバーに対する死刑判決は、裁判所による審理を経たものであるにもかかわらず、ライースィー氏の独断であるかのように書いていることです。
2つ目は、そのテロ組織がイラン国民に対して行った犯罪行為については一切言及しないことです。
3つ目は、死刑判決を受けたメンバーの大半は、その後恩赦を受けているということです。
ギッツ氏は、自分で調べることをしない読み手を悪用し、イラン国内で常に抗議運動や弾圧が続いているかのように見せかけているのです。
そして、彼女の記事の根拠は、アメリカ政府がライースィー氏を「イラン国内外での弾圧」に関与したことを理由に制裁対象としたことです。そのアメリカが、西アジアで多くの人々の命を奪ってきたことは誰もが知るところです。