NATOの米寄り政策で、東欧が対ロシア戦争の場になる可能性が浮上
(last modified Mon, 23 Sep 2024 08:21:31 GMT )
9月 23, 2024 17:21 Asia/Tokyo
  • NATOの米寄り政策で、東欧が対ロシア戦争の場になる可能性が浮上
    NATOの米寄り政策で、東欧が対ロシア戦争の場になる可能性が浮上

アメリカの政治家・キッシンジャー氏は昨年の逝去以前に、「米政府はウクライナ危機を速やかに終結させなければならない。さもなくば、米国は東欧での優位性を失うだろう」と警告していました。

パールストゥデイによりますと、ロシアのプーチン大統領は先日、ウクライナ戦争をめぐり西側諸国に向けたかたちで、「ウクライナに対する長距離兵器使用の許可は、NATO北大西洋条約が我が国との戦争に直接関わることを意味する」と警告し、危機がさらに拡大していることが示されました。

同大統領はまた、「このような行動は、紛争の本質を大きく変え、我が国にこれに適した決定を強いる可能性がある」と強調しました。

 

ヨーロッパが戦場に

IRASイラン・ユーラシア研究所の副所長でロシア問題上級研究員のマフムード・シューリー氏は、プーチン大統領の警告および西側諸国によるウクライナへの長距離兵器使用許可の決定に関し、イラン紙ゴッツとのインタビューにおいて、「ウクライナがこのような兵器を使って行う軍事的行動は、どのようなものであっても、ロシアによる反応を新たなレベルへと引き上げる可能性がある」と述べました。

続けて、「たとえミサイル1発の発射であっても、ウクライナ以外の戦場での新たな兵器の使用へとロシアを促しうる」と指摘しました。

また、「今、ウクライナの最も小さな間違いでも、NATOとロシア、つまりはヨーロッパ26か国とロシアとの直接紛争の土台となり、ヨーロッパを戦場に変える結果になりうる」としました。

その上で、この問題にロシアが敏感になっていることを強調しながら、次のように述べました;

「プーチン大統領ははっきりと、西側諸国によるこの行動がNATOの戦争への直接関与を意味することを述べた」

そして、「今回の警告は、ロシア・ウクライナ間の紛争レベル上昇に向けた基準として使われうる」としながら、正確なことはまだ言えないものの、西側製長距離ミサイルを用いたウクライナの攻撃に対する報復として、ロシアが短距離戦術核兵器を用いる可能性があると指摘しました。

 

現実になりつつあるキッシンジャー氏の予測

アメリカ問題の専門家ハニーフ・ガッファーリー氏は、プーチン大統領の発言および戦争の先行きに関するその見解について言及し、「プーチン大統領が最近の演説で使った”戦闘の本質を変える”という言葉は、西側がウクライナへ供与した長距離兵器のことを指していたと、私は考えている」と述べました。

さらに、このような行動がロシア・ウクライナ間の戦争をロシア・NATO間の戦争に変える可能性があるとしました。

また、ウクライナへの長距離兵器供与をめぐりNATO加盟諸国の間で揉めていることに触れ、「ギリシャ、スペイン、ハンガリーなどの一部のNATO加盟国は、ウクライナ危機がNATOにとって制御不能になると考えている」と述べました。

その上で、「NATOは、ウクライナの同機構への参加を主張したことで、実質的に東欧に危機を引き起こし、欧州に戦争による消耗をこれまでの3年間強いることになった」と強調しました。

そして、アメリカの戦略家である故ヘンリー・キッシンジャー氏の予測が現実になりつつあるとし、「キッシンジャー氏は亡くなる前に、米国がウクライナ危機を速やかに終結させるべきであり、さもなくば東欧での優位性を失った上、予測不可能な代償を支払うことになる」と警告しました。

 

NATOが起こしたウクライナ戦争

ガッファーリー氏は続けて、「ウクライナ戦争は、表面上はロシアの攻撃で始まったものの、戦略的観点からは、NATOが東方へと拡大しロシアを指摘したことによって起きた。米英は、NATOの東方拡大を主張したことで、ロシアはやむなく反応せざなった。しかし今、米英はこの危機を制御できなくなり、戦争が欧州に広がる可能性が大幅に増した」と指摘しました。

 

欧州への戦火拡大の危険性

モルドバ、オランダ、ポーランドといった欧州諸国はロシアと対立しており、将来的にはこれらの国々の領土が戦場となる可能性もあることから、ガッファーリー氏は、欧州がアメリカ陣営のもとで盲目的に動けば深刻な損害にさらされる可能性があるとしています。

欧州諸国は、このような政策を継続することで戦争の代償を自らに引き受けているのであり、安全保障分野で独立した行動がとれなければ、国際体制の中で生き残れるだけの賢明な決断を下すことはできないでしょう。

 

 


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