軍事撤退から非軍事的復帰へ:アフリカ大陸における仏の新たな戦略
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マクロン・フランス大統領は2017年以来、アフリカ大陸におけるフランスの政治・経済的影響力を維持し続けるべく、黒い大陸と呼ばれるアフリカ地域での「ソフトな植民地化」という新たな政策を打ち出してきました。
(last modified 2025-08-26T09:25:48+00:00 )
8月 26, 2025 18:22 Asia/Tokyo
  • フランスのエマニュエル・マクロン大統領
    フランスのエマニュエル・マクロン大統領

マクロン・フランス大統領は2017年以来、アフリカ大陸におけるフランスの政治・経済的影響力を維持し続けるべく、黒い大陸と呼ばれるアフリカ地域での「ソフトな植民地化」という新たな政策を打ち出してきました。

カタール国営衛星通信アルジャジーラはその報道において、アフリカ大陸に対するフランス政府の最新の政策について取り上げるとともに「2017年にマクロン仏大統領が就任して以来、フランスの対アフリカ政策は大きな変化を遂げた」と報じています。

新たな言説における植民地政策

【ParsToday国際】メフル通信によりますと、マクロン大統領の対アフリカ政策は、新たな言説における植民地政策の継続だとされています。さらにこの報道では、マクロン大統領は、西アフリカのマリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド、セネガルにおける軍事基地の閉鎖や軍事駐留の終了によって打撃を受けたにもかかわらず、アフリカ大陸における情勢変化によりフランス政府が被った損害の軽減を狙い、フランスの植民地政策を継続するための「フランス・アフリカ軍事パートナーシップと協力」という枠組みの構築により、この惨事に立ち向かおうとした、としています。この点に関して、マクロン大統領は2017年の大統領就任して以来、アフリカ18カ国を訪問しています。彼は2023年にアフリカにおけるフランスの新たな計画を発表し、アフリカ大陸において中国、ロシア、インド、トルコとの激しい競争を開始しました。

フランスは2027年までに金融面での優位性を失うのか?

フランスは長らくアフリカ諸国の金融・通貨市場を支配してきました。しかし、アフリカ諸国はこの傾向に不満を抱いており、自国の潜在能力や力を発揮できないまま依存状態にあるこの関係の鎖を断ち切るべく、新たなパートナーを必要としています。

フランス中央銀行が数十年にわたり管理してきたCFAフラン(旧フランス領西アフリカおよびフランス領赤道アフリカを中心とする多くの国で用いられる共同通貨)は、フランスが西アフリカ諸国の外貨準備高と対外貿易を管理するための重要な手段であり続けてきました。一方でブルキナファソとニジェールが、フランス語の存在感を高め文化と言語の多様性の支援及び、平和・民主主義・人権の促進、教育奨励を目指す活動を行うフランコフォニー国際機関(本部はフランス首都パリ)からの脱退を表明したことで、フランス文化と言語の影響力は低下しています。アフリカでは、これらの国々におけるフランス語と教育公用語の関係を見直そうという全体的な潮流が存在しています。例えば、ルワンダの公用語はフランス語から英語に変更され、セネガルでも同様の変化が起こっています。実際に、セネガルのバシル・ファイ現大統領は、フランス語ではなくアラビア語を公用語として受け入れることを提唱しています。

伝統的な植民地主義から近代的な植民地主義への移行

西アフリカ諸国が必要としているのは、フランスの支配からの完全な自由と独立、そしてこの黒い大陸における開発計画を遅らせてきたアフリカ諸国民に対する残虐行為と犯罪をフランスが事実として認めることです。この点において、フランスは過去の行為を認め、正式に謝罪し、西アフリカ諸国に与えた損害に対する賠償を支払う必要があります。ジャック・シラク元フランス大統領は2019年9月、「私たちが持っている金銭の一部はアフリカの搾取によって得られたものであることを忘れないで欲しい。奪ったものは返還するのが常識である。この行動は、少なくとも多くの問題や不安から我々を救えるだろう」と語りました。

マクロン政権下のフランスが発表したアフリカからの「撤退」は、純粋に軍事的な現象であるにもかかわらず、実際には、アフリカ大陸におけるフランスの権力の戦略的再編を表しています。フランスは、従来の軍事支配の手段を、経済、外交、文化などのより柔軟な手段に置き換え、同時に直接駐留に伴うコストと責任を軽減することで、アフリカにおける自らの重要な利益を守ろうとしているのです。

 

 


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