ベネズエラ攻撃を示唆する米国の脅迫の背後に存在するものとは?
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中南米全体を対象とするテレビ局・テレスールが「米国がベネズエラを脅迫している真の理由は麻薬密売ではなく、中傷や度重なる嘘を利用してベネズエラの戦略資源をコントロールすることにある。このことはベネズエラのみならず中南米全体を新たな戦争、混乱、情勢不安の波という危険にさらしている」と報じました。
(last modified 2025-08-27T03:06:24+00:00 )
8月 27, 2025 12:04 Asia/Tokyo
  • ベネズエラ攻撃を示唆する米国の脅迫の背後に存在するものとは?(写真はトランプ米大統領)
    ベネズエラ攻撃を示唆する米国の脅迫の背後に存在するものとは?(写真はトランプ米大統領)

中南米全体を対象とするテレビ局・テレスールが「米国がベネズエラを脅迫している真の理由は麻薬密売ではなく、中傷や度重なる嘘を利用してベネズエラの戦略資源をコントロールすることにある。このことはベネズエラのみならず中南米全体を新たな戦争、混乱、情勢不安の波という危険にさらしている」と報じました。

【ParsToday国際】ベネズエラ首都カラカスに本社を置くテレビ局・テレスールのウェブサイトによりますと、この点に関して、アメリカ帝国主義はドナルド・トランプ大統領に対し、麻薬カルテルとの戦いを名目にベネズエラ沿岸近くの南カリブ海に約4000人の海兵隊を派遣するよう命じたとされています。この内容はつい最近にも、米国際情報サイト・ブルームバーグやウォールストリート・ジャーナルなどで報じられています。

米国司法省はまた、トランプ大統領とマルコ・ルビオ国務長官、ベネズエラ政府に対する訴訟を主導したとされるパム・ボンディ米司法長官を含むトランプ氏の強硬派側近らが、ベネズエラのマドゥロ大統領、カベーリョ国民議会議長、ウラジーミル・パドリノ・ロペス国防相を「麻薬テロリスト」で、軍人らが構成する麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス」のリーダーだと非難していたと報告しました。

実は、これらの疑惑は第1次トランプ政権時代の2020年に米国司法省によって正式に公表され、当時すでに数百万ドルの報奨金が提示されていました。しかしながら、現在まで、こうした憶測を裏付ける明確な証拠は提示されていません。汎ヨーロッパ非営利組織のCEPR・経済政策研究センターを含む複数のアナリストは、これらの訴訟の正当性に疑問を呈し、その政治的性質を指摘しています。

常に他国への侵略を正当化するために虚言を発してきたアメリカ

2003年、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領とトニー・ブレア元英国首相は、イラクの旧独裁者サッダーム・フセインが「大量破壊兵器」を保有していると主張し、イラク侵攻を開始しました。しかしこの主張は、元国連大量破壊兵器査察官スコット・リッター氏により否定されています。「アメリカを再び偉大に」という帝国主義のスローガンは、戦争、制裁、そして独立国の略奪に他なりません。ベネズエラに関する嘘も同様であり、脅威の真の理由は麻薬密売ではなく、同国が保有する戦略資源の支配にあります。

ベネズエラは、世界最大の石油確認埋蔵量(OPEC石油輸出国機構、2024年によると3030億バレル以上)と、相当な金埋蔵量(ワールドゴールドカウンシル[WGC、国際的な金業界団体]、2024年によると161トン)を誇り、「オリノコ弧(オリノコ川北岸に帯状に広がる超重質油・オリノコタールが賦存する地域)」には巨大な採掘能力があります。ベネズエラの公式報告書では、コルタンや希土類元素などの戦略的鉱物の価値は最大2兆ドルと推定されています(OPEC、2024年、WGC、2024年)。

実際、アメリカが求めているのは、かつてイラク、リビア、シリアを従属させたように、ベネズエラを従属させ、石油と鉱物資源へのアクセスを確保し、傀儡国家を築くことにあります。「アメリカを再び偉大に」という帝国主義のスローガンは、戦争、制裁、そして独立国の略奪に他なりません。

アメリカがこのような帝国主義的行動に走る根拠は、同国が直面している構造的な経済危機にあります。米国は対中貿易赤字を抱えており、その数字は2024年には2950億ドルを超過しました。また、対EU貿易赤字も2350億ドルに達しています(米国国勢調査局、2024年;ユーロスタット、2024年)。この赤字を埋めるため、トランプ氏は保護主義を強め、関税賦課に訴えるとともに、「誰もが」米国を欺いたと非難してきました。こうした状況において、ベネズエラのような戦略資源の支配は、世界的な覇権維持にとって極めて重要となります。

したがって、侵略をちらつかせての脅迫はベネズエラを危険にさらすだけでなく、中南米体を新たな戦争、混乱、そして不安定化の波にさらすことになります。特に、ベネズエラと2200キロメートル以上に及ぶ陸の国境を接するコロンビアは、必然的に紛争に巻き込まれることになるだろう、と見られています(ロイター通信、2024年)。

 

 


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