米政府によるパレスチナ代表団へのビザ発給拒否がもたらすもの
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9月の国連総会を前に、米政府はパレスチナ自治政府のアッバス議長らをはじめとするおよそ80人のパレスチナ高官に対するビザ発給を拒否しました。
(last modified 2025-09-10T16:02:39+00:00 )
8月 31, 2025 21:28 Asia/Tokyo
  • パレスチナ自治政府のアッバス議長
    パレスチナ自治政府のアッバス議長

9月の国連総会を前に、米政府はパレスチナ自治政府のアッバス議長らをはじめとするおよそ80人のパレスチナ高官に対するビザ発給を拒否しました。

【ParsToday国際】この決定は、パレスチナ代表団が国連総会に出席することに直接的な影響を及ぼし、パレスチナの外交的権利に対する明白な侵害と見なされています。

パレスチナは2012年以降、「オブザーバー国」として国連総会での会議に参加する権利を有しています。しかし、米国の今回の行動は、フランスやサウジアラビアが主導する二国家解決を中心とした重要な会議にパレスチナの指導者らが出席するのを妨害しています。

この措置は、アメリカがパレスチナ問題に関して一方的な政策を取っていることの象徴であるだけでなく、アメリカが国連本部のホスト国として負っている法的義務に明確に違反していることを示しています。

アメリカ政府は、この決定は国家安全保障の利益に基づいていると主張し、パレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構(PLO)がその義務を履行していないとしています。

アメリカ国務省の公式声明には、「パレスチナ自治政府とPLOが平和のパートナーとして認められる前に、テロリズムを継続的に非難し、特に2023年10月7日のハマスによる攻撃を非難し、教育におけるテロの扇動を終わらせなければならない」と記載されています。

さらに、アメリカはパレスチナ自治政府がイスラエルを国際刑事裁判所や国際司法裁判所に訴える試みを非難しています。また、パレスチナ自治政府がパレスチナ国家の承認を追求しようとすることも、今回のビザ発給拒否の理由の一つとして挙げられています。

一方で、アメリカは国連本部のホスト国として、1947年に批准された「国連本部協定」(UN Headquarters Agreement)に基づき法的な義務を負っています。

この協定はアメリカの連邦法の一部であり、アメリカがすべての国とオブザーバー国の代表に対して国連本部への自由で制限のないアクセスを提供しなければならないことを明記しています。

パレスチナは2012年以降、「オブザーバー国」としてこの権利を享受しており、協定の第21条は、すべての紛争は一方的な措置ではなく、仲裁によって解決されるべきであることを定めています。

さらに、アメリカが批准したウィーン外交関係条約は、外交的免責特権と自由な移動を保証しています。アメリカの外交関係法も、ホスト国が遅滞なく適切にビザを発行する義務があることを強調しています。

アメリカがパレスチナ代表団の国連総会への出席を妨げる最近の措置は、外交、法的、そして人道的な観点から広範な影響を及ぼすことになるでしょう。

国連はこの問題を解決するために仲裁手続きを開始する可能性があり、これはアメリカのホスト国としての信用に傷をつけることになります。

今回の措置は、外交的免責特権の侵害の可能性を浮き彫りにし、国際司法裁判所での訴訟につながる可能性もあります。

また、ガザがイスラエルによる虐殺、ジェノサイド、飢餓に直面している中、アメリカは国際社会でパレスチナの声を抑えようとしています。この行動が失敗に終わることは、過去の経験からも予想のつくことです。

したがって、仮に今年の国連総会にパレスチナ代表団が出席できなくても、パレスチナは他の方法で自らの正当な権利を訴え、イスラエルとその主要な支持国であるアメリカを非難し続けるでしょう。

 


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