国連安保理が新たなガザ関連決議を採択、トランプ和平案めぐり世界の足並み揃わず
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国連安全保障理事会会合の様子
国連安全保障理事会が13カ国の賛成およびロシアと中国の棄権により、ガザの将来に関するトランプ米国大統領の和平案決議を採択しました。
安保理は決議2803を採択し、ガザの将来に関する新たな枠組みを設定しました。この枠組みでは「ガザ紛争終結に向けた米国の包括的計画」に基づき、ISF国際平和維持・安定化部隊が創設されることになっています。この決議は賛成13票および、ロシアと中国の棄権2票で採択され、パレスチナ国家樹立への道筋も示しています。この任務の主な役割は、ガザの再建、経済復興、そして武装解除の監視だとされています。
【ParsToday国際】イルナー通信によりますと、マイク・ウォルツ米国連大使はこの決議を「大胆なロードマップ」と評し、「可決されなければ戦争への回帰を意味する」と主張しました。また、「この計画はエジプト、カタール、トルコ、インドネシアなどの国々と協力して策定されており、ISFがシオニスト政権イスラエル軍に順次取って代わることになる」と語りました。
ウォルツ大使はさらに、「統一された指揮下にある国際部隊がガザの安全と軍縮プロセスを確保する」と強調しています。
一方、今回の採決に当たってロシアは棄権し、パレスチナ国家樹立に関する明確な言及の削除と、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区間の溝が拡大する可能性に警鐘を鳴らしました。加えて、中国は透明性の欠如を強調し、「この決議はパレスチナ人の権利と二国家共存計画に十分配慮しておらず、ISFの詳細も曖昧である」と表明しています。
これに対し、パキスタンやアルジェリアを含む一部のイスラム諸国はこの決議を、戦争終結とイスラエル軍の完全撤退の機会と位置付け、歓迎しました。パキスタンは「独立国家パレスチナの樹立および、一切の併合や強制移住の防止も必要である」と強調しています。また今回の決議を支持したフランスは「和平の主要な条件は、ガザ地区の迅速な復興とパレスチナの国家主権尊重である」との見解を示しました。
こうした中、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスは、米国による今回の決議案の承認に対し、「この決議は、特に過去2年間、全面戦争と残虐なジェノサイドに直面してきたガザ地区のパレスチナ人の要求や政治的・人権に合致していない」として反論しました。新たな決議は重要な一歩ではあるものの、その内容条項や実施メカニズム、そしてパレスチナの政治的将来をめぐっては、依然として深刻な見解の対立が残っています。

