9.11同時多発テロから15年
(last modified Sun, 11 Sep 2016 10:37:57 GMT )
9月 11, 2016 19:37 Asia/Tokyo
  • 9.11同時多発テロから15年

アメリカの9.11同時多発テロから、15年が経過しました。            

アボルファトフ解説員

15年前の2001年9月11日、アメリカは世界を震撼させる事件に遭遇しました。アメリカの軍と経済が、テロ組織アルカイダの標的となったのです。アメリカ本土が外国の敵から攻撃を受けるのは、189年ぶりのことでした。9.11テロの攻撃手段、標的となった場所、物的被害や人命の損失の程度は、アメリカの文化や経済、政策を変化させました。

確かに、いまだにこのテロの方法や動機について、多くの憶測が出されており、一部の疑問については答えが出ていません。こうした中、2001年9月11日の朝に起きた事件と、この事件の裏にどのような人物がいたのかとは別として、この事件の結果は国際社会にとって、とても重大なものでした。

9.11同時多発テロの後、世界はかつてない戦争と虐殺、情勢不安の時代に突入しました。当時のアメリカ政府は、このテロに反応する中で、テロとの戦いを開始し、アフガニスタンとイラクを占領しました。同時に世界のテロ・ネットワークに対抗するため、ほかの国に対する軍事介入を開始しました。こうした中、アメリカ主導の西側政府は、テロに対抗するため、個人のプライバシーや、人権法や戦争法といったものを踏みにじっています。

9.11同時多発テロから15年が経過し、このテロ事件以前に比べて、テロや過激主義も世界で拡大しています。現在も、ISISやボコハラムといったテロ組織のテロ活動は、世界のさまざまな地域で行われており、これらはアルカイダのテロと比較できません。この期間、中東諸国の半数がテロとの戦いに巻き込まれ、西側よりの政権が樹立しています。また、この期間における欧米諸国の出費は、西側経済を金融危機に落としいれ、世界中の多くの人を圧迫しています。

同時に、人権の尊重に関する西側の基準も、明らかに弱体化しています。テロとの戦いの中心から、悪名高いアブーゴライブやグアンタナモなどの刑務所ができ、これにより、アメリカは拷問を行う国のひとつとされています。また、アメリカは、テロとの戦いを口実に、人類史上最大規模の諜報活動を世界で行いました。これは、アメリカの同盟国の首脳に対しても行われました。

9.11同時多発テロは、自由と安全保障のバランスを安全保障の側に傾けました。自由は蹂躙されたにもかかわらず、世界において、目立った形で安全は確立されていません。現在、テロの危険にさらされていない地域はほとんど存在せず、これは、9.11以後、アメリカのテロ対策が、ただ、この問題をより世界的なものにしてしまったということを示しています。このため、9.11同時多発テロの後のアメリカのテロとの戦いの成果は、無意味で、何の成果もなかったということができるでしょう。