ニュース解説;アルジェリアでのOPEC会合の結果を待つ石油市場
OPEC・石油輸出国機構の加盟国が、今月26日から28日に掛けて、アルジェリアでの国際エネルギーフォーラムの傍らで、会合を開催します。
アミーンザーデ解説員
情報筋はアルジェリアでの国際会議を前に、サウジアラビアが自国の産油枠を引き下げる用意があるものの、この決定の実施はイランが自国の産油枠の固定化に同意することが条件であることを明らかにしました。この問題について、IRIBアミーンザーデ解説員は次のように語っています。
今年の6月から、サウジアラビアの産油量は夏場のエネルギー需要の高まりにより増加し、7月には同国の1日当たりの産油量が前代未聞の1067万バレルに達しました。しかし、その翌月の8月には少々低下し、日量1063万バレルに下がっています。今年の1月から5月にかけて、サウジアラビアは平均して日量およそ1020万バレルの石油を生産していました。こうした動向により、原油価格は2014年6月の時点で1バレル115ドルだったものが、1バレル30ドルから50ドルにまで下落しました。
現在、OPECに加盟する産油国及び、非加盟の産油国の多くは、財政危機に直面しています。サウジアラビアとこれに同盟するペルシャ湾岸諸国も、歳出の抑制を迫られています。
これ以前にも、今年の4月には産油枠の固定化をめぐる合意成立に向けた条件を整えるべく、一連の努力がなされました。しかし、サウジアラビアがOPECで定められた産油枠以上の生産に固執したため、この努力は頓挫してしまいました。
現在、原油分野での投資家や実業家らの視点は、これまでのどの時代にも増して間近に迫ったアルジェリアでの国際会議に注がれています。今回の会合で、果たして実行可能な合意に至るのか、はたまたサウジアラビアがこれまでどおりに、イランを産油枠の固定化に向けた合意への障壁だとして、自らのやり方を続けるのかについて、見守る必要があります。
イランは、制裁前に確保していた石油市場での自国の産油枠、即ち日量およそ400万バレルというシェアを取り戻すまでは、産油量の固定化に応じないと強調しています。現在、イランの産油量は日量360万バレルとなっています。
イランは、6カ国との核合意が実施され、石油関連の制裁が解除されて以来、自国に割り当てられたシェアにそって、次第に産油量を増やしてきており、もはや自国の産油量の減少の補填を中断する理由は存在しません。ロシアのプーチン大統領は、イランを産油量の増量の停止という取り決めから除外し、国際的な制裁を受ける前の産油量に戻させるよう求めています。
アナリストの見解では、サウジアラビアは今や世界市場での原油価格の回復のために、産油枠の固定化に対しより柔軟な立場をとることを余儀なくされているということです。しかし、サウジアラビア経済が緊縮財政によりこれまで以上の不況に向かっているにもかかわらず、サウジアラビアの政府関係者は過去に歩んできた道を歩み続けようとしています。
アルジェリアでの非公式の会合は、ある意味でこうした問題の全てについての解決策を考えるための会議だといえます。しかし、アルジェリアでは全ての事柄が1つの新たな決断に至るように整っているわけではありません。OPECは依然として、加盟国内で足並みが揃っていない状態にあり、それぞれの加盟国が自らの抱える理由や動機により、個別の目的を追求しています。現在、全ての人々にとっての疑問は、OPECがなぜ産油枠を引き上げ、現在こうした問題を抱えることになったのか、そしてサウジアラビアは過去の政策を悔やむのではなく、それに対する責任をとるべきではないのか、ということです、。
産油枠の引き上げを狙うサウジアラビアの主要な動機は、イランやロシアの経済に打撃を与えることにあります。もっとも、昔から言われているように、どこでも害悪を未然に防ぐのが得策であるに越したことはありません。しかし、この言葉が果たしてOPECやそのほかの産油国にも当てはまるかどうかは、今後の状況を見てから判断すべきだといえるでしょう。