西側の思想家が考える預言者ムハンマド(14)
今日も昨日に引き続き、19世紀のイギリスの歴史家で評論家であったトーマス・カーライルのイスラムの預言者ムハンマドに関する見解をご紹介しましょう。
トーマス・カーライルは、イスラムの預言者ムハンマドを擁護し、彼には神からの啓示が下っており、人間として崇高な性質を兼ね備えていたとしています。カーライルは、預言者を擁護し、次のように記しています。
「あなた方は、ムハンマドは預言者と呼ばれていたと言っている。その通り、この人物は創造世界の無限の泉から、我々にメッセージをもたらした。彼の言葉を見るがよい。詩人だと思うか、それとも預言者だろうか。私が考えるに、この偉大な人物は世界の内側から創造された。神はこの偉大な人物に知識と英知を与えた。我々は、何よりも彼の言葉について考える必要がある。彼は幼い頃から忍耐強く賢い若者で、周囲の人から、信頼できる人物、正直な人物と呼ばれていた。彼の状態は人々にとって明らかだった。衣服は自分で洗い、靴は自分で手入れしていた。人々と会話を楽しみながら、人々を統治していた。あなた方がこの人物を何と呼ぼうとも、歴史上のいかなる帝国の皇帝も、自分で衣服を洗う預言者ムハンマドほど、人々から慕われてはいなかった。この偉大な人物は、23年間、多くの苦労を強いられながらも、数々の試練に耐えた。私は彼を英雄と呼ぶ。彼はそのような呼び名にふさわしい人物である」
カーライルによれば、預言者ムハンマドが優れているのは、彼が子供の頃から、常に、深く考えていたためでした。カーライルは次のように記しています。
「昔から、この人物の頭の中には壮大な考えが存在していた。彼は、自分が誰で、自分が暮らしているこの広大な世界は何であるのか、と常に考えていた。ハラーの山やヒジャーズの灼熱の砂漠は、彼にその答えを与えるものではなかった。また、頭上に広がる青い空も、輝く星も、それに答えてはくれなかった。どこからも答えは得られなかった。彼自身の魂と、神から与えられたインスピレーションのみが、その答えを与えてくれたのだった」
カーライルは、預言者に対するさまざまな疑いが解消された後、イスラムの偉大なる預言者、ムハンマドへの興味や関心を次のように表現しています。
「私がムハンマドを敬愛するのは、彼が純粋な性質を持ち、欺瞞的な行いが全くないためである。この砂漠の申し子は、自分の意見を持つ誠実な人物だった。理解力に優れ、明敏であった。決して高慢になることはないが、卑しくもなかった。本質的に偉大な人物だった。コーランはムハンマドの言葉で広められ、他人にも影響を及ぼした。彼は読み書きができず、学校にも通わず、教師にも会ったことはなかったが、その必要はなかった。研ぐ必要のない刃のようだった」