アメリカ大統領選挙費用との、嘘のような単純な比較(24)
今回は、アメリカ大統領選挙にかかる選挙費用と、平和の拡大に必要な資金とを比較してみることにしましょう。
アメリカは、世界の紛争の多くに対し軍事面で積極的に参加しています。アメリカは、アフガニスタンとイラクの戦争の開戦国であり、中東はそれ以来平穏だったことはありません。アメリカは、世界レベルで覇権を握り、強大国となるために軍隊を大幅に活用しており、それは現在も変わっていません。アメリカの政治家たちは常に、アメリカ国民の税金を軍事目的に使用するのは、あくまでもアメリカの安全を守り、世界の平和と安全、安定に貢献することにある、と主張しています。この主張により、アメリカ国民による政府への納税額全体の39%が、アメリカ軍の費用に使用されています。
http://peacealliance.org/cms/assets/uploads/2013/05/statistics-on-violence-2015.pdf
アメリカ軍では現在、140万人が現役の隊員として活動しており、さらに110万人の予備役が存在します。これらの全てらに、兵器調達や管理運営費なども合わせると、1年間に合計で5810億ドルの費用がアメリカ国民に課されている計算になります。
アメリカ・ワシントンDCにあるカーネギー研究センターは1999年、世界で死者を出した紛争に関する調査報告を発表しました。「紛争の費用、紛争の予防とその復興」とされたこの調査によりますと、世界各地において紛争を未然に防ぐために拠出される費用は、紛争勃発後にその停止のために拠出される予算よりもはるかに効果があるということです。
http://peacealliance.org/cms/assets/uploads/2013/05/statistics-on-violence.pdf
アメリカ政府は、世界の平和と安全、安定を守るためと主張しながら、実際に世界的な紛争の抑止のために拠出している金額はごくわずかです。アメリカの国防大学にある各センターは、連邦政府から年間予算として10億ドルを受け取っています。しかし、アメリカで世界における残忍な紛争を阻止するために正式に活動している組織の予算は、アメリカの国防大学の予算の25分の1に過ぎません。アメリカ平和研究所は1984年、同国議会によって設立され、年間4000万ドルの予算を政府から受け取っていますが、これは1ヶ月あたり334万4000ドルという計算になります。近く行われるアメリカ大統領選挙で争う2人の最終候補者が、先月19日までに拠出した選挙費用は21億ドルに上ります。この金額は、世界の平和と安全、安定に寄与することを主張する、アメリカの機関の630か月分の予算をまかなえる額なのです。
https://www.washingtonpost.com/graphics/politics/2016-election/campaign-finance/